金融

日本郵政、新体制の船出に荒波 信頼回復に向けた課題山積、収益の柱づくりも

 日本郵政グループ3社はトップを総入れ替えして再生を期した。だが、かんぽ生命保険の不正販売問題で信頼が地に落ちた状況は変わらず、再生に向けた取り組みはむしろこれからが本番だ。信頼回復に向けた課題は山積しており、増田寛也社長が率いる新体制の船出には荒波が待ち受ける。

 「経営陣や現場社員が危機意識をどこまで共有できるかにかかっている」。9日の会見で増田氏は40万人の社員を抱える巨大組織の信頼回復の実現性についてこう語った。不正が蔓延(まんえん)した根本原因には「ノルマ達成のために不正を黙認し、正当化する風潮」や「現場の声が経営層に届かない風通しの悪さ」などが指摘されており、組織風土や企業体質の抜本改革は待ったなしだ。

 「官僚出身の3社長に本当に改革ができるのか」。60代の元郵便局員は不安を口にする。半官半民の郵政グループは政治・官庁が影響力を持つ複雑な組織だ。不正販売問題は、旧郵政省出身者が実権を握るいびつな経営体制が温存され、役所体質が抜けていないことが一因だったからだ。

 増田氏には企業経営の経験はなく、経営手腕は未知数。長年の行政経験を生かし、しがらみがある中でも組織をまとめ上げることが期待されるが、組織に深く根ざした問題を改善するのは容易ではない。

 まず取り組まなければならないのは足元の問題だ。顧客の不利益解消はもちろん、道半ばである問題の調査を完了させ、不正の実態解明にこぎ着けなければならない。調査が終わらなければ、不正に手を染めた社員の処分も進まない。増田氏は「今の調査体制はスピード感がない。外部の活用も考える」と述べ、問題に早期に区切りを付ける決意を示した。

 「中長期の方向性や在り方も定めていかなければならない」と関係者は指摘する。今回の問題では、グループ間などで情報が伝わらず、連携も不十分であるなど分断された巨大組織の姿が浮き彫りになった。組織全体に目詰まりが広がり、ガバナンス(企業統治)が効かない組織構造は、グループ運営の枠組みにも問題があるとみられ、持ち株会社の在り方などグループ一体運営を機能させる仕組みづくりも急務となる。

 問題発覚で日本郵政の株価は大幅に下がり、政府が郵政株の保有比率を現在の57%から3分の1超まで売却する時期は見通せていない。だが、経営の自由度を増すためには売却を実現する必要がある。

 金融2社からの手数料で収益を賄う日本郵便の新たな収益の柱づくりも欠かせない。増田氏は「本来、地域での存在感は高く、地銀との連携などを新たな分野で進められるか」と述べたが、そのためにも顧客の信頼回復は不可欠の条件となる。 (万福博之)

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