イオンを23年間にわたって率いてきた創業家出身の岡田元也社長(68)が会長に退く。日本最大の小売業は、遅れているデジタル化の推進や総合スーパー事業の立て直しなど経営課題は山積している。市場環境が大きく変化する中で、次期社長の吉田昭夫副社長(59)の手腕に注目が集まる。
岡田氏は10日の記者会見で「リスクを取らず、事業機会やチャンスを逃してしまうことも多くなってきた」と巨大企業であるが故の機動力の悪さを指摘した。
最大の課題はデジタル化の遅れだ。2021年2月期までの3年間で5000億円のデジタル投資を計画しているが、売上高に占めるインターネット比率は約1%で、目立った効果は出ていない。
昨年11月には吉田氏を中心に英国の「Ocado Group(オカドグループ)」との提携をまとめ、ネットスーパーを抜本的に改革すると発表した。巻き返しを図っている最中だが、ネットスーパーも楽天と組む西友やアマゾンジャパンなどが群雄割拠しており、勝ち抜くのは簡単ではない。
中核の総合スーパー事業は低収益で苦しんでおり、19年3~11月期も営業赤字だった。吉田氏は記者会見で「お客さまと現場の商品やサービスにギャップができている」と指摘した。ライバルのセブン&アイ・ホールディングスは人員削減を伴う大規模なリストラ策に踏み切っており、ユニーは総合ディスカウント業態の「MEGAドン・キホーテUNY」への転換を進めている。イオンも抜本的な対策が急務だ。
米国ではネット通販大手のアマゾン・コムに対抗できず、老舗百貨店の経営破綻やショッピングモールの空洞化が起こっている。吉田氏は「垣根を越えた競争が始まっている。(アマゾンとは違う)実店舗を持っている強みをどう出していくかが課題だ」と述べた。
イオンは10日、創業家の岡田元也社長が退任して代表権のある会長に就任し、後任社長に吉田昭夫副社長が就く人事を決めたと発表した。3月1日付。グループ最高経営責任者(CEO)は岡田氏が継続する。
岡田氏はイオンを一大流通グループに育てた岡田卓也名誉会長の長男で、1997年に社長に就任した。積極的な海外展開や事業買収を進め、イオンの小売業界ナンバーワンの地位を確立した。
イオンが10日発表した2019年3~11月期連結決算の最終損益は、前年同期の6億円の黒字から63億円の赤字に転落。ユニクロなど専門店との競争激化で各地に展開する総合スーパー事業の業績が悪化しており、食品スーパーもコンビニとの激しい競争にさらされている。
【プロフィル】吉田昭夫氏
よしだ・あきお 1983年ジャスコ(現イオン)。イオンモール常務などを経て2015年2月からイオンモール社長。19年3月からイオン副社長。