任天堂が自社ゲームのキャラクターを活用したビジネスを強化している。国内初の直営グッズ店を昨秋オープンしたのに続き、今夏までにユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)で知名度の高い「マリオ」の世界を再現した新エリアが開業。スマートフォン向けゲームの普及でライバルが増える中、キャラクターを武器に新たなファンを開拓する。
「ピコーン」。マリオになりきってゲームに出てくる「ハテナブロック」を下からたたくと、おなじみの音が鳴り、スマートフォンのアプリにコインがたまる。USJが14日に報道関係者に公開した、新エリア「SUPER NINTENDO WORLD(スーパー・ニンテンドー・ワールド)」で提供するアトラクションの一部だ。
投資額は600億円超と、映画「ハリー・ポッター」のエリアなどを上回り過去最大となる。担当者は「新しい歴史をつくることができるだろう」と成功に自信を示す。USJの運営会社は大阪を皮切りに、米国やシンガポールなど世界4カ所に展開する予定だ。
任天堂は2019年11月、東京の渋谷パルコに直営店「ニンテンドートウキョウ」を開業した。主な商品はここでしか買えないキャラクターの限定商品。当初は5時間待ちの行列ができるなど話題となった。22年にはアニメ映画「スーパーマリオ」も公開予定だ。
任天堂がキャラクタービジネスに力を入れる背景には、スマホゲーム市場の拡大がある。参入障壁の低さから多くの企業が進出。米グーグルやアップルもゲーム配信を始め、任天堂の事業戦略は転換期を迎えている。エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは「キャラクターを目にする機会が増えればゲーム機で遊ぶきっかけにもなる。相乗効果は高い」と分析した。