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シリコンバレーでもリノベーション経営

 世界的なイノベーション(革新)創出地である米シリコンバレーでも、企業競争力強化に向けて本質的な価値を創造するための突破口である「イノベーションよりリノベーション(価値の再定義)」という考え方が支持された。2017年早春、シリコンバレーを訪れ、企業向けソフトの世界大手であるドイツSAPのイノベーションセンター、グーグルや、スタートアップ企業が集積するシェアオフィス、スタンフォード大などを回る機会に恵まれた。スタンフォード大ではデザイン・シンキング普及の一翼を担った「dスクール」を訪問した。その際、多くの人が賛同してくれたのだ。(ビジネスリノベーション社長・西村佳隆)

 具体的には、イノベーションを起こそうと研究開発投資をする前に、いま保有している資産や入手しやすい技術(まねできる技術)の「顧客にとっての価値づくり」に注力することで、大きな金額の投資リスクを軽減できる可能性が生まれる。つまり、限られた予算の中で利益を生み出す有効手段であることが確認できた。

 シリコンバレーでは、(1)考え方の多様性(2)外部の知恵による成長(3)トライ&エラーが前提-という3つの知見を得た。

 (1)は、独創的な視点を大切にするdスクールの学科横断型プログラムの特徴。dスクールは経営学部、工学部、芸術学部の学生で構成されている。この多様性により、これまでにない視点による課題解決や、そもそもの課題設定に独創性が生まれる。

 (2)では、外部の知恵を導入することでプロダクト(サービスを含む)を成長させており、例えば次のようなケースがあったという。あるベンチャー企業が開発中のプロトタイプ(原型)が、出張で訪れた日本企業の目にとまり、日本でプレゼンテーションすることになった。日本企業は「これなら自社でできる」と判断し、同様のものを1年後に開発した。しかし、外部の知恵を積極的に導入したそのベンチャーは同じ1年後、はるかに進化したプロダクトを発表した。

 (3)は、「新規事業の重要業績評価指標(KPI)は挑戦の数」ということだ。巨大企業であっても、新たな試みの場合はトライ&エラーを絶対視している。これは、持続的な成長のために「実験と学習の反復」が必要とするデロイトトーマツコンサルティングの実態調査(2016年2月)と同じだ。

 従業員から新規事業の提案を受けた際に「5年後に100億円の事業になるのか」という質問を投げ掛け、イノベーションの芽を摘んでしまっているような経営者は要注意だ。

【プロフィル】西村佳隆

 にしむら・よしたか 横浜国大工卒。ヤマハ発動機、ワタミ、サミーネットワークスなどを経て、2015年ビジネスリノベーションを設立。事業活性化支援を行う。日本医療デザインセンター理事、経済産業省認定経営革新等支援機関、立命館大デザイン科学研究センター客員研究員。著書『ビジネスリノベーションの教科書』で価値の再定義を主張。51歳。京都府出身。

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