旧村上ファンド系の投資会社、シティインデックスイレブンス(東京)は21日、工作機械大手の東芝機械に対して株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。最大で259億円を投じ、東芝機械株の保有比率を43.8%に高めることを目指す。買い付け期限は21日~3月4日。
東芝機械はTOBに反対する姿勢で、敵対的TOBとなる見通し。シティ側は東芝機械株の12.8%を既に保有している。東芝機械はシティ側からのTOB開始通告を受け、他の既存株主に新株予約権を割り当てて買収者の保有比率を引き下げる買収防衛策を導入しており、双方の攻防が激しくなりそうだ。
シティ側は、東芝機械が買収防衛策の導入を株主総会に諮らず取締役会決議で決めたことを「経営陣の保身のためだ」と批判。防衛策が発動されれば裁判所への差し止めの仮処分申請も辞さない構えだ。東芝機械は「具体的な対応は検討中だ」としている。
東芝機械は、東芝による半導体製造装置会社ニューフレアテクノロジーへのTOBで、保有するニューフレア株の売却に応じた。シティ側は今回の東芝機械へのTOBが下限を満たして成立すれば、ニューフレア株の売却で得た資金やこれまでの内部留保を株主に還元することなどを求めており「株主価値向上が図られる」としている。
【会社概要】東芝機械
1938年創業で、工作機械や産業用ロボットなどを手掛ける。本社は静岡県沼津市。2017年に、経営危機だった東芝が保有していた株式を買い取ってグループから独立した。20年4月に社名を芝浦機械に変更する予定。19年3月期連結決算は売上高が1174億円、最終利益は40億円。グループの従業員数は3346人。