金融

証券、手数料「ゼロ化」加速 若年投資家を囲い込み 課題は代替収入源

 証券業界で株式や投資信託の取引にかかる手数料の一部をゼロにする動きが加速してきた。顧客獲得競争が激化する中、若年の個人投資家を中心に囲い込むのが狙いだ。ただ、代替の収入源確保が課題で消耗戦になりかねず、経営統合や提携など再編につながるとの見方も出ている。

 インターネット証券大手のauカブコム証券は昨年12月、証券会社からお金や株式を借りて売買する「信用取引」の手数料撤廃を打ち出した。松井証券は取り扱う全ての投資信託の販売手数料をなくすと決め、楽天証券やマネックスグループも追随した。

 SBIホールディングスは、収益の柱である現物株式の売買手数料も完全にゼロ化する計画を昨年10月に発表。北尾吉孝社長は「手数料に依存しない基盤を広げる」と語り、法人向けビジネスや地方銀行との連携を強化する考えを示した。

 株式売買手数料はネット証券が引き下げを主導し、各社は投資初心者向けに既に一部を無料としている。ただ、個人投資家の取引は低調に推移しており「(ゼロ化は)過当な競争になる」(日本証券業協会の鈴木茂晴会長)との声もある。

 米国では昨秋にネット証券大手チャールズ・シュワブが手数料ゼロ化をいち早く表明し、同業の買収にも乗り出した。日本のネット証券幹部は「国内でも体力勝負になる」と警戒。収益の落ち込みを補うため、規模拡大を目指す再編に発展するとの観測がくすぶる。

 対面営業に軸足を置く大手証券では、SMBC日興証券が2011年にネットを通じた信用取引の手数料を無料にした。みずほ証券も同様のサービスを来月始める。

 第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは手数料ゼロ化に関し、宣伝効果は期待できるとしながらも「顧客層を広げるには、長期投資できる金融商品を地道に販売することが大事だ」と指摘した。

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