パナソニックとトヨタ自動車の住宅事業を統合した新会社「プライムライフテクノロジーズ(PLT)」が1月、発足した。合算した一戸建て住宅の販売戸数は積水ハウスなどを上回る約1万5000戸で、国内2位に浮上。人口減少で住宅メーカーに逆風が吹く中、車や家電で培った両社の技術を持ち寄って「次世代の街づくり」という新たな分野の開拓を目指す。
詳細は公表していないが、パナソニックとトヨタが同率を出資し、三井物産も少額出資した。パナソニックホームズやトヨタホーム、ミサワホームなど5社が傘下に入り、社長にパナソニックの専務執行役員だった北野亮氏が就いた。
統合の背景には、国内市場の縮小がある。野村総合研究所によると、国内の新設住宅着工戸数は2018年度の95万戸から30年度には63万戸まで減る見込みだ。PLTは住宅を「造って売る」だけで終わらない、サービスと連携したものづくりへの転換を模索する。
トヨタは1月、モノとサービスが通信でつながる実証都市「コネクティッド・シティ」を静岡県に建設すると発表した。人工知能(AI)を活用し、実際に人が住む環境で自動運転やロボットなどが暮らしにどう役立つのか検証する。
PLTもトヨタとパナソニックの知見を生かし、住宅が車や家電などと連動する未来型の街づくりを推進する方針だ。トヨタの都市構想に参加するかどうかは未定だが、広報担当者は「何らかの形で貢献したい」と話す。
PLT傘下の各社は、それぞれのブランドを維持する。共同調達を進める方針だが、採用する部材や工法はそれぞれで異なり、どの程度コスト削減につなげられるかが課題だ。