2020 成長への展望

量から質へ転換、新たな家づくり提案 積水ハウス社長・仲井嘉浩さん

 --社員の同性パートナーに異性婚の人と同様の福利厚生制度を適用するなど、多様性への支援を進める

 「社員の多様性を認めて評価することが、業務の革新につながるとの考えからだ。女性の活躍推進や男性の育休取得、障害者雇用などを促進しているが、同性カップルへの福利厚生の充実も、そのような観点から実施した。革新を生み出すには、社員同士の意思疎通が十分に図られていることが不可欠だ。前線で働いている社員は良いアイデアを持っているが、意思疎通がない上意下達型の上司では、そのようなアイデアを吸い上げることができない。今年は全社横断で新たなアイデアを競い合う取り組みも行う」

 --今年は3カ年の第4次中期経営計画が終わり、第5次に進む

 「第5次が始まる今年、創設60周年を迎える。30年を一つのフェーズ(段階)として区切っており、今年はいよいよ第3フェーズに入る年でもある。新たな挑戦を進めたい。具体的には家が健康を生み出すとの概念の下、新たな家づくりを提案していく。住宅をめぐり、政府は量から質への転換を目指す方針を打ち出している。積水ハウスが貢献できる10年になるだろう。テレワークの普及で勤務形態も変化する。どのような空間が求められるのか。研究の余地は大きい」

 --今秋に着工するJR大阪駅北側の再開発計画「うめきた2期」に参画している

 「マンション棟の建設計画を主導させてもらっている。一番役に立てる分野だ。第1期のマンション分譲は、大阪・関西万博開幕前の24年秋ぐらいを想定している。戸数や価格はまだ決まっていない。うめきた2期には都市公園が設置されるなど緑を重視したつくりとなるため、環境を意識したマンションにしたいと考えている。ファミリー向けが中心だが、個人がセカンドハウスとして利用できる間取りも必要だろう」

 --2025年大阪・関西万博への取り組みは

 「(会場建設費として財界が企業に求める)寄付金の要請については当然協力する。ただ、万博会場内でのプロジェクト参画は検討していない。商業系の開発をあまり行っていないからだ。大阪府市が誘致を目指す統合型リゾート施設(IR)も同様だ」

 --建設業界では人材不足が深刻化している

 「わが社は専属で工事を請け負ってくれる職人さんのコンソーシアム(共同事業体)があり、事業承継を含め支援していく。また昨年は、ベトナムで人材を育成し、直接雇用する取り組みを開始した。人材確保には着実に取り組んでいきたい」

【プロフィル】仲井嘉浩

 なかい・よしひろ 京大卒。1988年積水ハウス入社。経営企画部長、常務執行役員などを経て、2018年2月から現職。京都府出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus