2020 成長への展望

洋上風力強化し再生エネ目標2倍に 大阪ガス社長・本荘武宏さん

 --昨年は海外事業で多くの動きがあった

 「米テキサス州でシェールガスの生産事業を行うサビンオイル&ガスを完全子会社にしたほか、米国でフリーポート液化天然ガス(LNG)プロジェクトや天然ガス火力発電所が商業運転を開始した。2019年度に65憶円程度を見込む海外事業の利益は、20年度には約3倍になる見通しで、これまで投資してきたものが収益に貢献するようになる」

 --昨年12月には、英国のエネルギー小売り会社イグルーへの数億円規模の出資も明らかにした

 「この会社は電力自由化が進む英国で省エネ技術やITを使った料金決済のノウハウを持っている。人材を派遣して同社が持つノウハウの吸収につなげたい。他の案件でもそうだが、買収して生産を増やすだけでなく、企業の持つノウハウ、技術をどれだけ吸収できるかが重要だ」

 --再生可能エネルギーの電源確保はどう進める

 「洋上風力発電の取り組みを強化したい。洋上風力は建設コストが下がり、規模の経済性が働くようになった。現時点で建設地点の検討対象は複数ある。30年度までに再生エネルギーの電源を100万キロワット分確保する目標を掲げてきたが、多様な電源確保のためには100万キロワットでは全然足りないので、調達も含めて少なくとも200万キロワットへ倍増しなければならない」

 --16年の電力小売り全面自由化以降、電力会社と激しい顧客獲得競争を続けている

 「アマゾンプライムが楽しめたり、ドコモポイントがたまったりするなどの選択肢を用意し、家庭向け供給件数は120万件以上になった。新たに吉本興業と提携してお笑い動画サービスとのセットプランを出すなど、試行錯誤を続けている。一方、機器トラブル時の駆け付けや見守りサービスなどといったエネルギー以外の暮らしと直結するサービスで、どれだけ顧客とつながり続けられるかが長期的な視点では鍵を握る」

 --関西電力が大津市内で家庭向けガス小売り事業に参入するなど攻勢を強めている

 「家庭が引っ越しする際に顧客が流れているケースが多い。住宅の仲介業者と提携するなど、打てる手はどんどん打って防衛線を張らなければならない」

 --今年4月に約3割の従業員が出向する大規模な組織改編を行う

 「家庭用エネルギーの販売と産業用の営業、ガス製造所などの運転・管理の事業をそれぞれ分社化する。本社が戦略を担い、現場は顧客とより近くする狙いがある」

【プロフィル】本荘武宏

 ほんじょう・たけひろ 京大卒。1978年大阪ガス入社。エネルギー事業部長、サービス統括兼リビング事業部長、副社長などを経て、2015年から現職。大阪府出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus