大手銀行が工夫を凝らした新型店舗で競っている。インターネットバンキングやキャッシュレス決済の普及を背景に来店客数が減少傾向を強めていることに対応し、相続や資産運用といった個人向けの相談業務に特化したり、土日も営業したりするなど、顧客重視を前面に打ち出している。
三菱UFJ銀行は今月20日、東京都内のビルの8階に個人客の相談を専門とする「市ケ谷コンサルティングオフィス」を開いた。預金の引き出しなどに応じる窓口や現金自動預払機(ATM)は設置していない。
利用には事前予約が必要で、通常は午後3時までの営業時間を同行では初めて延長し、午後6時までとした。同様の店舗を順次増やすことにしており、幹部は「仕事帰りに寄りたいというニーズに応えたい」と話す。
三井住友信託銀行は昨年12月、東京都渋谷区の2店舗を統合した新店を同じ区内の商業施設にオープンした。祝日は休業だが、平日は午後8時まで、土日は午後6時までと営業時間を長くして利便性を高めた。橋本勝社長は「優れた立地を最大限に生かし、個人ビジネスを牽引(けんいん)する」と意気込む。
三井住友銀行が昨年11月に出した東京都内の2店舗は個人客向けで、広さが従来の3分の1程度と小さいのが特徴だ。店舗の運営コストを減らす一方、顧客との接点を増やすため、相談スペースを広くした。
みずほ銀行は2020年度から、行員が顧客とゆっくり向き合えるように、店舗の事務作業の省力化に本腰を入れる。グループの信託銀行や証券会社との連携を強め、サービスを拡充する。