■争点整理に日本マイクロソフトのツール採用
日本マイクロソフトはこのほど最高裁判所が推進する民事訴訟手続きのIT化において、同社のコラボレーションツール「Teams(チームス)」が採用されたと発表した。
これまで、民事訴訟手続きの争点整理手続きでは、当事者が遠隔地に居住しているなどの理由がある場合、電話会議/テレビ会議システムを利用することができた。しかし、電話会議では当事者や裁判官が互いに表情などを見られない点が課題だったほか、映像を伴うテレビ会議を利用する場合でも、裁判所間の接続に限られているため、訴訟が係属する裁判所に出頭できない当事者は、最寄りの裁判所までは出頭しなければならなかった。
さらに電話会議やテレビ会議では、裁判官と両当事者が、同じ書面や図面の同じ箇所を見ながら協議することも難しかった。
こうした制約から、電話会議/テレビ会議の利用は活発になっておらず、遠隔地間における訴訟は出張を伴っていたため、当事者や代理人弁護士の移動時間、費用などの負担が重かったという。さらには、裁判所と両当事者で裁判期日を調整する際にも、移動時間を考慮する必要が生じてしまうので、なかなか都合が合わず、次回期日が先の日程になってしまうこともあった。
そこで今回は、こうした課題を踏まえ、裁判手続きのIT化を実現するフェーズ1の取り組みとして、争点整理でのチームスの利用が可能になった。同サービスを利用することにより、裁判の関係者は、場所にとらわれることなくチームス上で資料を同時に閲覧し、表情なども確認しながら争点を確認、議論できるようになった。
具体的には、2月から、知的財産高等裁判所をはじめとした9カ所の裁判所で取り扱われる民事訴訟事件の争点整理において、チームスの活用が可能になる。また5月頃からは、横浜やさいたま、千葉など、さらに5カ所の裁判所でも対応が予定されている。(インプレスウオッチ)