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化粧品、相次ぎ都内新拠点 ネット融合・ブランド発信 フロア大規模化

 化粧品各社が、東京都内に新拠点を相次ぎ開設している。美容情報サイトや化粧品のセレクトショップを運営するアイスタイルは、原宿に大型路面店を開設。銀座では昨年12月のコーセーに続き、4月に資生堂も新店舗をオープンする。

 銀座や原宿には外国人観光客も多く訪れ、情報発信力が高い。各社は単に商品を売るだけでなく、独自の工夫でブランドや商品の魅力向上に役立てる考えだ。

 アイスタイルは10日、JR原宿駅前に化粧品セレクトショップ「アットコスメストア」で初となる路面店を開いた。使用する3フロアのうち、1階と2階では200ブランド以上・約2万点の商品を販売。約1300平方メートルの売り場面積は業界最大級といい、初年度に40億円の売り上げを目指している。

 「ネットとリアルの融合」(吉松徹郎社長)を追求。1階にネット上で情報発信力のある「インフルエンサー」が利用できるスタジオを設けたほか、2階には美容情報サイトの口コミランキングで上位に入った商品を陳列している。

 資生堂は4月、グローバルブランド「SHISEIDO」の旗艦店を銀座に開設する。地上11階、地下1階建てビルのうち、1階を含む3フロアを使用。同ブランドの路面店では世界最大規模になる。

 ブランドの全商品に加えて、店舗限定商品も扱う。五感を使って化粧品を試せるデジタルコンテンツなど独自の仕掛けも用意する。

 資生堂にとって銀座は創業の地に当たり、ほかにも複数の拠点がある。東京五輪・パラリンピック開催もあってインバウンド(訪日外国人)需要のさらなる盛り上がりが期待される中、「商品やブランドの魅力をアピールしたい」という。

 銀座では、コーセーも5年前に買収した米ブランド「タルト」をはじめ、全ブランドの商品を扱う「メゾン・コーセー」を昨年12月に開設した。パナソニックと協力し、デジタル機器を活用しながら肌状態に合った商品を提案するなど、積極的に外部と連携している。

 銀座や原宿では、以前から化粧品各社の拠点開設が行われてきた。ただ、近年は国内販売が堅調で、各社の資金力が高まっていることを反映してか、規模が拡大傾向にある。

 一方、アイスタイルが店を構えた場所には以前、米アパレルブランド「ギャップ(GAP)」の旗艦店があった。アパレル不況で店舗閉鎖が相次ぎ、大型物件を確保しやすくなったことも、開設を後押ししているとみられる。(井田通人)

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