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ドローン空輸、離島に生活革命 高松の企業が実現間近 買い物の不便さ解消

 高松市のベンチャー企業「かもめや」が試行を重ねてきたドローンによる空輸事業の実現が近づいている。行政の支援や費用の低減といった課題はあるが、食料品や薬の買い出しが不便な離島の暮らしを変える可能性を秘める。

 「ドローンの空輸網が整えば人口数十人の島にコンビニができたほどのインパクトがある」。かもめやの小野正人代表(42)が力説する。国土交通省によると、国内には約6800の離島があり、うち400余りに人が住む。人口が数人の島もあり、定期航路の維持が難しくなっている。

 小野さんは2015年、約8キロ離れた高松港-男木島間で空輸実験を成功させた。その後、操縦者が目で追えない長距離飛行を支える基幹システムの開発に注力し、完成にこぎ着けた。

 19年3月には長崎県五島市から業務委託を受け、離島間で食料品を運ぶ社会実験を滞りなく終えた。最終目標は商用化だが、現状は機体の価格などが高く、利用者に手頃な価格でサービスを提供するのが難しい。

 かもめやの試算によると、19年時点で、10キログラムの荷物をドローンで50キロ離れた島まで運ぶのに要する費用は5000円。ただ24年には機材の量産化や蓄電能力の向上によってコストが下がり、1000円まで圧縮できる見通しだ。

 五島市の地域おこし協力隊、浜本翔さん(37)は行政の立場でドローンの活用推進を担う。海上輸送は市街地に比べて国交省の飛行許可が下りやすい半面、顧客となる島民が少ないため採算維持が困難という。「事業が軌道に乗るまで行政の補助が必要。島民のニーズは間違いなくある。公金支出に市民の理解をどう得られるかだ」と現状を説明した。

 小野さんは男木島に住んだ経験があり、買い物の不便さを身をもって味わった。「ドローン空輸の商用化で離島の生活に革命を起こしたい」と話している。

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