2020 成長への展望

Jパワー社長・渡部肇史さん(64)

 ■脱CO2や低CO2へ技術革新進める

 --昨年を振り返ると

 「台風15号など災害が多かった。当社の設備や施設に被害はなかったが、電力というインフラを支える仕事の重要性を再確認した。同時に、山葵沢地熱発電所(秋田県湯沢市)が運転を開始したり、国内の洋上風力発電所の環境影響調査に入るといった再生可能エネルギー関連の取り組みや、米国でのガス火力発電所の着工など、経営計画通りに進捗(しんちょく)した」

 --今年はどういった年になるとみているか

 「新型肺炎問題などもあり、あまりいいスタートとは言い難い。世界経済はプラス成長ではあるが、その伸び率予測は低いものとなっている。電力業界としても、国内需要は伸びていない。自動車の電動化やIoT(モノのインターネット)の進展などで、電力需要は伸びるはずなのだが、厳しい状況だ」

 --Jパワーにとって2020年は

 「今年は竹原火力発電所新1号機(広島県竹原市)、鹿島火力発電所2号機(茨城県鹿嶋市)が稼働する。1年に国内大型火力が2基も稼働するというのは、昭和50年代前半以来なかったことだ。さらにインドネシアでもセントラルジャワ石炭火力も完成する予定だ。これらの大型案件をきっちりと自社の電源として育成していく」

 --25年度を最終年度とする経営計画は、今年が折り返し点になる

 「あと残り5年だが、今のところは計画に沿って進めていく考えだ。同時に次の経営計画『ポスト2025』の検討に入りたい。電力の設備は40年の稼働を前提にしているため、長期的な視点が必要だ。ただ、環境の変化が大きく、不確実性も増しており、長期と短期のプロジェクトを組み合わせていく必要がある」

 --その際のテーマは

 「気候変動問題への関心が高まる中、脱二酸化炭素(CO2)や低CO2への取り組みだ。国によってエネルギーの資源状況はまちまち。日本は資源の9割を輸入に頼る中で、あらゆる種類の電源を活用すべきで、再生可能エネルギーや原発、石炭火力も欠かせない。そのためには世界最高効率や低CO2の最新鋭設備の投入に加え、CO2分離・回収や水素利用などイノベーションを進めるべきだ」

 --働き方改革へ取り組みは

 「既に在宅勤務などの制度は整えている。さらに生産性の考え方やあり方をどう会社の仕組みに組み込むかを研究している。将来的には生産性を軸とした働き方の評価を検討していきたい」

                   ◇

【プロフィル】渡部肇史

 わたなべ・としふみ 東大卒。1977年Jパワー(電源開発)入社、経営企画部長、取締役、副社長などを経て、2016年6月から現職。大分県出身。

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