原付か自動車と同じ扱いになれば、それに応じた安全対策が求められる。国内の規制は海外と比べ厳しいといい、専門家はモペットなどの電動モビリティーの普及には「法改正が必要」と指摘する。
「自転車の速度に近いものが車と一緒に走るのは危険で、現在の法律は新たなモビリティーに対応していない」とするのは、モビリティーの共存を研究する茨城大学の金(きん)利昭教授(交通計画)。「自転車通行帯を最高時速25キロ程度の『中速帯』に位置づけ、道交法に中速帯を走るスローモビリティーの区分を設けるべきで、海外ではすでに制度作りが先行している。実現すれば、歩道も安全な空間にできる」と話す。
違法走行が横行
昨年経済産業省で開かれた委員会では「都市や地方が抱えるさまざまな移動課題に対応し、新たなビジネスの創出、地方経済の活性化にも資する」と評価されるなど、期待感が高まる次世代モビリティー。
一方で「世論が導入反対に傾きかねない」とメーカーが憤る事態も起きている。
無免許運転や、公道を走る仕様になっていない電動モビリティーで公道を走るといった違法行為が常態化しているのだ。
大阪府警は昨年末までの約2年半で、モペットの運転者に道交法違反(無免許運転・整備不良)容疑で615件の警告を出した。同11月には、モペットが歩行者と衝突してけがをさせるひき逃げ事件も発生。逮捕された調理師の男(26)は「公道を走ってはいけないと知っていたので逃げた」などと供述した。ほかにもセグウェイや電動一輪車など電動モビリティーを使った違法行為が相次いでいる。
「新たなモビリティーが移動手段に困る高齢者を助けることは間違いなく、自転車通行帯を整備する今こそ、その先を見据えてほしい」と金教授。だが、交通ルール順守や歩行者優先についての国民意識の低さには懸念もあるという。「何をどう走らせるかを検討するのと同時に、交通規則を整え、それを守る文化を育てることも必要だ。ハード、ソフト両面での環境づくりが求められる」。金教授はこう訴えた。