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新型肺炎、東南アジア観光業に打撃

 【シンガポール=森浩】新型コロナウイルスによる肺炎の影響は、中国人にとって距離的に近く、「安近短」の旅行先として人気が高い東南アジアに波及している。旧正月(春節)の連休に入って旅行のキャンセルが相次ぎ、観光関係者は異口同音に「壊滅的打撃が出る」と懸念する。

 普段は観光客でにぎわうシンガポールの名所、マーライオン公園。新型肺炎の流行の影響で例年より人出は少ない。「特に団体客の減り方が顕著だ」と近くのレストランで働くウォンさん(38)は話した。

 シンガポールの昨年1~11月の中国人観光客数は国別で最多の約335万人。同国旅行業協会のサムソン・タン氏は「観光以外に小売業や飲食業など影響は広範囲だろう」とため息をつく。既に政府は観光業を対象に固定資産税の減免などの支援策を検討中だ。

 東南アジアの中で特に危機感を募らせるのが、観光業がGDP(国内総生産)の2割を占めるタイだ。昨年の国別観光客数の最多は、こちらも中国で約1099万人。既に観光客の減少は始まっており、2月のホテルの予約率は30%ほどと例年の約50%を下回る。タイ政府は年間の中国人観光客が最大で900万人減少し、500億バーツ(約1735億円)の経済的損失が発生すると見積もる。

 昨年約120万人の中国人観光客が訪れたインドネシア・バリ島も同様だ。インドネシア旅行業協会は、一気に1万人分のバリ旅行のキャンセルがあったと明かす。同協会は「飛行機の運航停止が相次いだことが大きい」と分析し、事態の早期の収束に期待を寄せている。

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