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車載事業の成長、自動車のプロに託す 日本電産が社長交代

 日本電産が現社長の吉本浩之氏に続き、日産自動車出身の関潤氏を社長に据えるのは、経営のかじ取りを自動車のプロに任せ、事業の柱と位置づける電気自動車(EV)駆動用モーターといった車載事業の成長を加速させるためだ。「10兆円企業」という高い目標を掲げる創業者、永守重信会長の厳しい評価に耐え結果を出せるのか、関新社長の手腕が注目される。

 4日に京都市内で行われた記者会見で永守会長は、社長に求める要素は「実力、実績だ」と繰り返した。関氏は日産で技術畑を歩み、自動車の製造現場に精通。昨年12月にはナンバー3の副COO(最高執行責任者)に就き、新車の商品企画を担った。永守氏は関氏を「社運を賭けた事業を指揮してもらえる人材だ」と持ち上げてみせた。

 関氏は日本電産に移籍後、国内外の拠点を視察したといい「現場の強さを感じた」と述べた。その上で「クルマのことがわかるプロを作っていく。モノづくりの足腰を作る」とした。また、永守氏のもとで経営における「判断力」を磨いていきたいと語った。

 現社長の吉本氏も日商岩井(現双日)で自動車畑を歩み、日産ではタイの現地法人の再建に取り組むなど、自動車産業に幅広い知見を持っている。しかし永守氏からすれば「この規模の会社(日本電産)の経営をするには経験が足りなかった」と指摘。吉本氏は潜在能力が高いと評価しつつも、社長に就け集団指導体制を目指したことを「反省している」と語った。

 日本電産がこうした人材を相次いで社長に据えるのは、車載事業を業績拡大の牽引(けんいん)役と位置付けているからだ。永守氏、関氏とも今後、急成長が見込める分野だと指摘する。実際、日本電産は昨年10月にオムロンの車載事業を1千億円で買収するなど攻勢を強めている。

 ただ同事業は投資費用がかさみ、令和2年3月期の通期業績予想を下方修正する一因となった。先行投資を収益に結びつけ成長軌道に乗ることができるのか、関氏の担う役割はかつてなく重い。

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