秋田県立矢島高校のビジネス系生徒が、地元産食品を使った新たな特産品として、みそと酒粕に漬けた「八塩山(やしおさん)豆腐」を開発した。酒粕による美容効果も期待できるという。発酵食品文化を地域振興に活用する「あきた発酵ツーリズム」に取り組む県も「商談会への出品などを働きかけたい」と注目している。
同校がある由利本荘市矢島町は合併前の旧矢島町で、郷土意識が強い。同校も地域創造コースのビジネス系で平成27年度から「『矢島町』をブランド化する研究・実習として、やしまブランディングプロジェクト(YBP)に3年生中心に取り組んでいる」と佐藤文明教諭は話す。
今春卒業する3年生たちが開発したのが酒粕入りみそに漬けた「八塩山豆腐」。原料はいずれも矢島町の大井豆腐店の木綿豆腐と、真坂糀味噌店の糀みそ、それに天寿酒造の酒粕。
実は昨年度の3年生が企画プロデュースしたみそ漬け豆腐が、実習販売で高い人気を集めた。今回の第2弾「八塩山豆腐」は「より訴求力のある商品にするための市場分析を行い、『漬物を食べる習慣があり、酒粕から得られる健康・美容効果への関心が高い層』に売り込むために酒粕を加えることにした」と、現3年の1人、高橋愛莉さん。
加工・製造は、かつての隣町の同市東由利町で女性らが農産品加工に取り組む「東由利特産物振興会」に協力してもらった。
商品化に際して生徒らは、市場調査で消費者が持つ酒粕のイメージに注目した。「酒粕は健康・美容にいいと知っていても、酒のにおいが強い、調理に手間がかかると感じる人が多い。これを克服して酒粕の香りのいい面を、チーズのようなコクのある味わいに加え、手軽に食べられるものにした」と、同、小松明子さんは打ち明ける。
矢島町と東由利町にまたがる八塩山(713メートル)の名を冠したのは「2つの町が協力作り上げたことを示しました」とラベルをデザインした高橋優奈さん。
生徒らは酒粕入り「八塩山豆腐」を8日の「やしま冬まつり・酒蔵開放」で天寿酒造に出向いて販売実習するほか、3月8日の「矢島町中ひなめぐり」で、由利高原鉄道・鳥海山ろく線矢島駅でも販売実習する。1パック250グラム入り300円で、両日計350パック限定。
平成29年度から「あきた発酵ツーリズム」に取り組む県の秋田うまいもの販売課は「高校生の発酵食品開発には注目しており、県の商談会への出品も働きかけたい。積極的に情報発信してほしい」と期待する。