【記者の目】欠けるネットユーザーの視点
今回の一連の議論をみていると、気がかりな点がある。インターネット利用者側からの視点が少なかったことだ。
文化庁の有識者検討会には、知的財産法や刑法の専門家、弁護士、被害当事者ともいえる漫画家、出版社、消費者団体のメンバーらが名を連ねた。
しかし、この問題が重要なのは、規制対象をすべての著作物に広げることで、一般国民の生活に影響を及ぼすためだ。意見募集やアンケートは行われた。ただ、検討会でもユーザー目線、とりわけネットに慣れ親しんでいる若者がどんな使い方をしているかをベースに、もっと話し合う必要があったのではないか。
今後は国会で議論が続く。この問題で最も影響を受けるのは、われわれの子供たちだ。未来に禍根を残さないよう、利用者の立場を考慮して意見を戦わせてほしい。(森本昌彦)