メーカー

トヨタ、英のHV車禁止で打撃 “時間軸”では対応可能も販売戦略に影響か (1/2ページ)

 英国のジョンソン政権が表明したガソリン車やハイブリッド車(HV)の販売禁止の方針は、電気自動車(EV)の開発や普及を推進する側面がある一方、自動車各社の新車開発計画の想定を狂わせる懸念がある。実際にジョンソン政権の計画通りに禁止措置が決まれば、特にHV技術を得意とするトヨタ自動車やホンダといった日本の自動車メーカーの事業戦略に影響が及ぶ公算は大きい。

 欧州連合(EU)からの離脱で通商環境の先行きが不透明になった英国が、今度はガソリン車やディーゼル車の販売を2035年までに禁止する計画を発表した。従来の計画を5年前倒しすると同時に、新たにガソリンと電気を用いるハイブリッド車も禁止対象に加えた内容だ。

 日本メーカーの中でも、特に影響を被りそうなのがトヨタだ。

 トヨタは昨年4月、“虎の子”のHVを中心とした電動車の関連技術の特許を無償で開放すると公表した。開放するのは2万3740件の特許の実施権。モーターやPCU(パワー・コントロール・ユニット)、システム制御、エンジン、充電機器などが対象で、無償提供の期限は2030年末までだ。トヨタに申し込み、具体的な実施条件などを協議の上、契約を締結する。有償の技術支援では、車両の電動化システム全体の調整に関する助言なども行う。

 トヨタ方式のHVを生産・販売するメーカーが増えるようになれば、システムに組み込まれる部品の生産量が膨らみ、コストが下がり、消費者が購入しやすくなる。排ガス規制の厳格化の流れに対し、HVの有用性をアピールし世界的な普及を促す思惑もあったが、HVを新たに販売禁止対象とした英政府の方針はこれに水を差す形だ。

 もちろん、トヨタも、世界的に脱炭素化の流れが強まっていることは十分に認識している。昨年6月には世界販売台数のほぼ半数を電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)といった電動車とする計画を当初より5年前倒しし、2025年に550万台以上の電動車を売る方針を打ち出している。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus