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「発売翌日に無断公開」漫画家苦言、止まない海賊版被害に“5つの怒りポイント” (2/2ページ)

 リーチサイト規制も

 文化庁の有識者検討会が今回まとめた報告書は、全ての著作物を対象に、インターネット上に無断で掲載されたと知りつつダウンロードする行為を違法化して規制するのが柱。一方で「ネット利用者が萎縮する」との懸念にも配慮し、軽微なダウンロードやパロディーを含む2次創作物のダウンロードは違法としない。

 この検討会にも参加した赤松さんは、「今回は当事者の漫画家からも意見を聞いていただき、歩み寄ってくれた。(議論で)もめた部分もあったが、何とかいい結果を出そうとするまとまりがあった」と振り返る。

 今後は国会の場で議論される。期待するのは「バランス」だという。

 「海賊版サイトにダメージを与えるラインと、『これなら普通のネット生活を送るうえで萎縮せずにすむな』というラインとのバランスをうまく取っていただければと思います。海賊版サイトに誘導する『リーチサイト』についても、早急な規制をお願いしたい。特に、発売翌日には無断公開される点をどうにかしてもらえたら」

 以前と比べ、最近は国会議員の中にも海賊版対策に理解を示す人が増えたという。

 「今の国会議員は(週刊少年誌の)『マガジン』や『ジャンプ』で育った世代が出てきた。今後国を挙げて『漫画を守っていこう』と考えてくれる議員も増えているし、過度の規制を強める議員は増えないだろう-という期待感もあります」

 業界への恩返し

 「ラブひな」など後進に多くの影響を与え、現在も累計370万部を突破した「UQ HOLDER!」を連載中の赤松さん。執筆活動の一方で、国の検討会への出席や、広報啓発活動なども行っている。漫画業界では「漫画家は漫画を描くことだけ考えればいい」という風潮も根強い中、なぜここまで精力的に活動しているのか。

 「漫画業界を今一番盛り上げている人たちには、創作に集中してほしいんです。かといって、(大ベテランの)ちばてつやさんや松本零士さんらに協力していただくのも何か申し訳ない気がする。私の世代がちょうどいいんですよ。コミケ(国内最大規模の同人誌即売会)で育ち、商業で売れた経験があり、(週刊連載中の漫画家と比べ)時間も比較的ある。一番の理由は、漫画業界への恩返しです」

 「私は『ラブひな』『魔法先生ネギま!』で、漫画にアニメ、音楽、舞台などありとあらゆるメディアミックスを楽しませてもらいました。それにより多くの収入を得ましたし、何より楽しませてもらったことへの感謝の念が強い。このときの楽しさを未来の新人さんにも味わってほしいし、『面白かったら売れる』というプラットフォームを海賊版に搾取されない形で残していきたいんです」

 赤松さんはこう続ける。口調も早くなっていく。

 「正規版を読んでもらうことで、漫画家は正当な収入を得て、次の作品を描く環境ができるんです。『鬼滅の刃』の吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんや、『進撃の巨人』の諫山創(いさやま・はじめ)さんの次の作品、読みたくないですか? そんなの、絶対面白いじゃないですか。良いサイクルを作るには、読者の方々に正規版で読んでいただきたいんです。そこをどうかよろしくお願いします」

【プロフィル】あかまつ・けん 昭和43年、東京都出身。中央大卒。平成5年、「ひと夏のKIDSゲーム」でデビュー。主な代表作に「A・Iが止まらない!」「ラブひな」「魔法先生ネギま!」など。株式会社「Jコミックテラス」取締役会長を務め、電子書籍サイト「マンガ図書館Z」やアシスタント募集サイト「GANMO」を運営。日本漫画家協会常務理事。

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