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ゴーン被告と新型肺炎…日産、再建の道険しく

 販売台数減に歯止めがかからず13日、11年ぶりの10~12月期連結最終赤字を発表した日産自動車。最大市場となった中国で挽回したいところだが、新型肺炎の余波が及び始めている。就任後初の決算会見に臨んだ内田誠社長は「全体の改善にはもう少し時間がかかる」と述べた。前会長、カルロス・ゴーン被告時代の拡大路線のひずみと市場低迷が重なり、再建の道のりは一層、険しくなっている。

 「物流網の状況が日々変わっている」。昨年12月の社長就任直前まで中国の現地トップだった内田氏は新型肺炎の影響をこう表現。「代替部品プランに着手している」とも強調した。

 日産はウイルス震源地の武漢に現地法人、湖北省内に完成車工場、その他にも生産拠点がある。これらでの昨年の生産台数は155万台で、世界生産(約495万台)の3割を占める。早いところで17日以降再開としたが当局の動向で次第にずれ込んでおり、めどが立ったとはいえない。

 その他の日本大手も、ホンダが517万台のうち155万台、トヨタ自動車が905万台のうち140万台など、中国での生産比率は一定の割合を占め、各社とも先行きへの懸念が日に日に深まる。

 業界関係者によると、国内自動車メーカーの中国からの自動車部品調達比率は他国と比べ高く、配線類など電子部品、ねじといった細かな部品まで多岐にわたり、輸入先のうちでは金額ベースで約3割を占める。

 販売面でも影響は避けられない。日産の昨年の中国販売は約154万6千台でこちらも世界(約517万6千台)の約3割。ホンダで約30%、トヨタは16%(いずれも2019年)となっている。

 ゴーン被告逮捕で調整役不在となり悪化した、仏ルノーとの関係の修復に力を注ぐ内田氏は会見で「(三菱自動車を含めた)連合のさらなる活用で選択と集中を進める」と再建方針を強調した。同時に、「想定以上の販売台数減で一歩踏み込んだ対応が必要」と、リストラも強く示唆した。(今村義丈)

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