リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く

ケンミン食品・高村祐輝社長(2-1) 関東重点に環境整備 (2/2ページ)

 直営の外食店展開

 --外食事業にも注力する

 「直営店を展開している。ビーフンと点心の専門店『YUNYUN(ユンユン)』を神戸・南京町と大阪・心斎橋に、ビーフンと本格中華料理を提供する『健民ダイニング』を神戸と東京・六本木に出店。食品メーカーのアンテナショップは宣伝の一環として採算度外視で運営するところも少なくないが、採算を得られる事業になった。ともに多店舗展開を図りたい。われわれが動かないとビーフン市場も変わらない。一人でも多くの人に食べてもらうため情報発信が必要だ」

 --市場に訴えるポイントは

 「健康だ。われわれがタイ工場で生産しているビーフンは米粉100%。グルテンフリーなので小麦アレルギーの人も安心して料理を味わえる。小麦粉の代替・除去食として学校給食にも採用されており、それだけ社会的意義もある。しかもノンフライ麺なのでカロリーは焼きそばの半分程度と少なく、水分を吸う性質もあるので野菜のうまみをたっぷりと閉じ込めたヘルシー料理を簡単に作れる。その上で低GIなのでメタボリックシンドローム予防に有効な食材といえる」

 --世界進出は

 「欧米では健康志向からグルテンフリーが注目されており、小麦アレルギーなどの対応食材として、またダイエットや健康食の一環として量販店やスーパーなどで陳列されている。愛される商品になると考え、2019年9月に米ポートランド市近郊の日系スーパーで開催されたフェアで消費者向け試食会を開催した。現地で好評だったため、グルテンフリーのビーフンを前面に押し出す。ビーフンにとって大きなチャンスが到来したわけで、日本市場の3倍規模といわれる米国に今年1月から『Yaki Be-fun』の名称で投入した。同様に欧州市場も開拓する。世界オンリーワンの味付き即席ビーフンの世界販売戦略をスタートさせる」

 オンリーワン創出

 --ところで3代目の役割は

 「ケンミンの焼ビーフンを創出した初代は会社の創業・確立に、2代目は会社の認知・拡大に取り組んだ。私は会社の価値向上に力を注ぐ。会長になった父は入社式で『定年になったとき、この会社に入ってよかったと思ってもらえるのが一番うれしい』とあいさつする。私なりに解釈すると、社員が『この会社は(社会にとって)いいことをしている』と自慢でき、誇れる会社にすることだ。そのためには社員の成長が欠かせないため、社員を大事にする社風を引き継ぎ、企業価値の向上につなげる」

 --そのために手がけることは

 「当社だけの事業、オンリーワン・ナンバーワン商品を創り出し、社会から必要とされる会社にする。人口が増えずモノがあふれる時代に商品が選ばれるには価値が必要だ。ケンミンだからこそできることをやっていく一方で、他社もやれることは整理していく。ビーフンに次ぐ事業の柱として位置づけるライスペーパー(18年発売)、タイ製春雨(19年発売)は、日系メーカーとしてオンリーワンだ。市場では後発だが、ビーフンのケンミンが生産するので市場から信頼を得られる。だからオンリーワン・ナンバーワンになれる」

【プロフィル】高村祐輝

 たかむら・ゆうき 関西学院大学経済学部卒。2005年京セラ入社。08年ケンミン食品入社。15年取締役、17年常務を経て19年5月から現職。37歳。兵庫県出身。

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