金融

GDP減、想定以上の節約意識 事前予測よりも幅大きく…1~3月期もマイナス危機

 2019年10~12月期の実質国内総生産(GDP)が1年3カ月ぶりのマイナス成長に陥ったのは、消費税増税による個人消費の落ち込みが主な要因だ。政府は、キャッシュレス決済時のポイント還元策など万全の増税対策を講じたはずだった。だが、マイナス幅は事前の予測よりも大きく、消費税増税が消費マインドに与えた衝撃の強さを見せつける結果となった。

 「増税前の駆け込み需要は前回(14年4月)より小さく、増税後にここまで消費が極端に落ち込むとは、想定できなかった」

 第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストはこう指摘する。10~12月期の実質GDPは前期比1.6%減で、民間シンクタンク12社の事前予測の平均値(0.9%減)より大幅に落ち込んだ。増税影響で個人消費が低迷したほか、企業の設備投資も増税に伴うシステム対応で7~9月期に投資が一時的に増えた反動が出た。

 増税後に販売が鈍化した品目は自動車や家電といった耐久消費財だけでなく、化粧品、アルコール飲料など幅広い。藤代氏は、いわゆる“老後2000万円問題”など高齢化に伴う老後の生活不安で節約意識が高まり、もともと消費マインドが弱まっていたところに増税が重なったことで影響が大きくなったと分析する。

 一方、政府は増税対策の効果もあって、「個人消費のマイナス幅は総じてみれば縮小傾向にある」と指摘する。ただ、西村康稔経済再生担当相は17日の記者会見で、「(マイナス幅が)私の想像より大きな数字になった」と漏らした。その上で「落ち込みが一時的なものか、しっかり見極めたい」と先行きに慎重な見方を示した。

 政府が試算した19年度全体の実質GDP成長率は0.9%。この数字を実現するには、20年1~3月期に2.1%の成長が必要になる。ただ、新型コロナウイルスによる肺炎の拡大で、1~3月期は2四半期連続のマイナス成長になるとの観測すら出ている。内閣府幹部は「2四半期連続は衝撃が大きい。一時的ショックにとどまらず、景気の拡大基調自体に影響する可能性もある」と警戒を強めている。(田辺裕晶)

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