KDDI(au)は17日、スマートフォン端末の2年後の買い取り価格を「残価」として設定し、端末価格から残価を除いた分を23カ月間分割で支払う新たな販売プランを21日から提供すると発表した。実質的な割引率は20~45%。3月に第5世代(5G)移動通信システムの商用サービスが始まるが、端末が高価格になる見通しのため、5G普及に向け消費者の負担を軽減する。
新プランは端末価格から残価分を除くことで月々の支払いが低廉な割賦金額となる仕組みだ。月額プログラム料金は無料で、auの回線契約の有無に関わらず加入できる。
残価の設定額は機種ごとに異なり、端末価格が税込み9万720円の「iPhone11」であれば、残価は3万6785円で端末価格の約41%に相当する。新プランでは、この差額分を月2345円の割賦金額として23回支払うことになる。
今後発売される5Gに対応するスマホは10万円超の高価格帯が中心となる見込みだ。一方で、昨年10月に新ルールが導入され、通信契約とセットにした端末代の値引きが上限2万円となるなど安売りが規制された。5G端末の購入時の負担が増え、端末が普及しないことが懸念されている。
今回、KDDIは自社と回線契約をしていなくてもスマホを割り引く仕組みを導入することで、新ルールの値引き規制対象から外れ、2万円以上の値引きが可能になった。ソフトバンクも昨年9月から回線契約の有無に関わらず加入できるプランを提供しており、今後はNTTドコモも追随する可能性がある。
携帯大手は5Gスマホには別途ルールを設けることを政府に求めている。だが、総務省は「5Gだけ特別扱いするつもりはない」(幹部)考えで、各社には昨年10月からの新ルールの範囲内で5G端末の売り方の工夫が求められている。(万福博之)
携帯大手の端末購入補助策
(端末購入補助策/通信契約)
・NTTドコモ
端末を36カ月の分割払いで購入し、25カ月目以降に端末を返却すると最大で12カ月分の支払いが不要/必要
・KDDI(au)
端末の2年後の買い取り価格を「残価」(価格の20~45%)として設定、端末価格から残価を除いた分を23カ月間分割で支払う/不要
・ソフトバンク
端末を48カ月の分割払いで購入し、25カ月目以降に返却すると最大で24カ月分の支払いが不要/不要