環境面に配慮した事業に調達した資金を充てる「グリーンボンド(環境債)」の普及に地方銀行が本腰を入れ始めた。西日本シティ銀行(福岡市)は企業の環境債を引き受ける。同行は「地銀が保証付きで引き受けるのは初めて」としている。国内の企業・団体による環境債発行は急増しており、地銀の本格参入で2020年は総額1兆円を超える可能性がある。
西日本シティ銀は、東京都内と広島市の両方に本社を置く太陽光発電事業会社「ウエストホールディングス」が今月25日に発行する2億円の環境債を全額引き受ける。保証付きなので、償還できなくなった場合は西日本シティ銀が損失をかぶる。
地銀では群馬銀行(前橋市)と名古屋銀行(名古屋市)が昨年に相次いで環境債を発行した。西日本シティ銀は自身が発行するのではなく、引き受けることで企業の環境対策を後押しする。
環境債は一般的に、調達した資金を充てる事業が二酸化炭素(CO2)削減に効果があることなどを外部機関が審査した上で発行される。費用の一部は環境省が補助する。発行企業にとっては、環境対策に積極的であることを投資家にアピールでき、資金が集めやすくなるなどの利点がある。
環境債は、日本電産が昨年11月に1000億円発行するなど国内企業に急速に普及している。金融機関では群馬銀、名古屋銀のほか、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友銀行などが発行し、調達資金を環境関連の投融資に使っている。
銀行が環境債を引き受ける動きも広まりそうで、りそな銀行は、プラスチック使用量が少ない環境配慮の素材を生産する「環境経営総合研究所」(東京)が今月25日に発行する30億円を引き受ける。