□三井住友信託銀行チーフ・サステナビリティ・オフィサー 金井司さん(58)
--サステナビリティー(持続可能性)への取り組みを強化してきた
「2003年にESG投資を開始したのが最初だ。機関投資家として、また投資家から評価を受ける立場としてサステナビリティーを模索してきた。気候変動問題、生物多様性問題、(環境価値の高い)環境不動産、ESG投資、超高齢社会問題を5大テーマに、企業に対して総合的なコンサルティングを行っている」
--企業価値向上に向けた社内の取り組みは
「経済的価値と社会的価値の追求を両立させるため、財務的、非財務的の両面から重要課題を整理した。銀行にとって重要な人材育成など非財務的課題について、サステナビリティ推進室が疑似投資家となって、担当部署と対話を重ねることで、取り組みの向上や情報開示の拡充を図っている。内輪の論理を壊すのが主眼だ」
--企業向け融資ではどんな取り組みをしているのか
「幅広い業種に分かれる顧客の先を見ている。昨年3月には、不二製油グループ本社との間で、資金使途を特定せずに、環境や社会にとってポジティブなインパクトを伸ばし、ネガティブなインパクトは抑制することを条件とした世界初の融資契約を結んだ。投資家や取引先から、生産現場で使っている電源の種類や労働形態などを厳しく問われている企業は多く、こうした融資契約へのニーズは強い」
--国連が提唱する「責任銀行原則」への支持を日本で初めて表明した
「銀行は資金を供給することで環境や社会に対するいい影響を伸ばし、資金を引くことで悪い影響を減らせる。持続可能な環境や社会を追求する上で、銀行は重要な役割を担っている。今後も取り組みを強化し、『インパクト・クリエイティング・カンパニー』を目指す」
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【プロフィル】金井司
かない・つかさ 阪大法卒。1983年住友信託銀行(現三井住友信託銀行)入社。企画部・社会活動統括室CSR担当部長などを経て、2018年4月から現職。福井県出身。