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「炭鉱電車」、100年以上の歴史に幕 三井化学が廃止を発表

 三井化学は3日、農薬などを製造する大牟田工場(福岡県大牟田市)で原材料搬入に使っている「炭鉱電車」を、今年5月いっぱいで廃止すると発表した。三井三池炭鉱専用鉄道として百年以上にわたり利用されてきたが、原料である濃硝酸の供給元が生産を終了し、船とトラックによる搬入に変更するため廃止を決めた。大正4年に製造された、日本で稼働する最古の車両など5両も引退する。

 炭鉱電車は明治11(1878)年、三池炭鉱の大浦坑から石炭を搬出する目的で敷設された馬車鉄道が始まり。24年には蒸気機関車の運転を始めた。支線を含む総延長は18・5キロに及んだほか、昭和39年から8年間は旅客輸送も担い、地元市民や鉄道ファンに親しまれてきた。

 しかし、平成9年に三池炭鉱が閉山されると多くの路線が廃止。工場とJR鹿児島線をつなぐ1・8キロだけが残り、現在は1日2回運行されている。専用鉄道跡は、「明治日本の産業革命遺産」として27年に世界文化遺産登録された。

 三井化学は廃止に伴い、「ありがとう 炭鉱電車プロジェクト」と題したイベントを実施し、稼働している様子を記念映像に収めるなどする予定。詳細は決まり次第、同社ウェブサイトで報告するとしている。

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