高論卓説

1冊の本が蘇らせた子供たちの笑顔 「何のために」が新たな価値を作る (2/2ページ)

 いまどきの言葉で言えば、本を通したクラウドファンディングのようなものなのかもしれない。当初は全く笑顔のなかった子供たちにも笑顔が戻ったそうだ。「帰りたくない」という子供たちも多く帰る時間を遅らせたほど。その後、子供たちからご招待のお礼状が届くことになる。下を向かないといけない風潮になっていた時期に、「これで夢を見ていいと、自分に許せるようになった。ふと忘れられる1日を提供できた」と先生は編集者に感謝の気持ちを述べたそうである。

 この取り組みを知った他の作家たちも印税を寄付したいという動きになり、同じく被災した岩手県大槌町の子供たちには修学旅行費用に役立ててほしいと寄付金を渡したという。本を通して思いが1つにつながった。「何のために」が当初から明確にあればいろんな価値を生み出していける。まもなく大震災から9年目の春がやってくる。

【プロフィル】芝蘭友

 しらん・ゆう ストーリー戦略コンサルタント。グロービス経営大学院修士課程修了。経営学修士(MBA)。うぃずあっぷを2008年に設立し代表取締役に就任。大阪府出身。著書に『死ぬまでに一度は読みたいビジネス名著280の言葉』(かんき出版)がある。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus