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「トイレットペーパーが品薄に」デマが広がり混乱に拍車 防止するには

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、「トイレットペーパーが品薄になった」といったデマが会員制交流サイト(SNS)などを通じて広がり、全国で買い占め騒ぎが起きた。非常時の混乱に拍車をかけかねないデマを防止するのに重要なことは何か。社会心理学者で噂の広がる仕組みなどを研究する立命館大総合心理学部のサトウタツヤ教授(57)に対策を聞いた。(聞き手 花輪理徳)

 --デマが拡散している状況をどうみているか

 「社会心理学では、重要で曖昧なことがあると噂が生まれるといわれている。噂はその情報を重要と思う人の間で広がるし、曖昧なことは推測で語られがちだからだ。噂は魅力的な情報が多く、流れやすい要素を持っている。感染拡大が続き、多くの人が新型コロナウイルスに関する情報を重要だと思う一方、(情報の中身が)曖昧とも感じているため、SNSなどで噂が広がりやすくなっている」

 --トイレットペーパーの買い占めについては

 「『トイレットペーパーが品薄になった』というデマを信じた人が買い求めた結果、本当に店頭からなくなってしまう『予言の自己成就』が起きた。トイレットペーパーは代替物がないし、誰もが使うので琴線に触れる。ただ、今回はすぐに『在庫は十分にある』とデマを打ち消すような報道がされたうえに、オイルショックの経験もあり、『空騒ぎだろう』と踏みとどまった人も多く、混乱にブレーキがかかった印象だ」

 --デマを生まないようにすることはできるのか

 「間違った情報を流す人がいるということを議論しても、噂やパニックはなくならない。流れをせき止めることが重要。噂が流れるスピードはSNSで速くなったが、流すのはあくまで人だ。他の人に伝える前に一歩立ち止まり、嘘である可能性を考えてほしい」

 --デマの拡散を防ぐために重要なことは

 「具体的な情報を流せばパニックは生じない。曖昧さをなくすのが政府の役割だ。『パニックになるから情報を出さない』というのは見当外れで、一人一人が情報を見極める情報リテラシーを身につけることが大切だ。今回の騒ぎを情報リテラシーについて考えるきっかけにしてほしい」

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