中小企業へのエール

言葉の力 時として有効な逆辞書

 □京都先端科学大・旭川大客員教授 増山壽一

 言葉には霊力、言霊がある。言葉は、自分を動かすだけなく、人をも動かす。そして、一度出した言葉は取り消せない。従って、言葉は大切に使わなければならない。そのためには、ポジティブな言葉を使う、自分の心に素直な言葉を使う、そして後悔しない言葉を使うことが大事である。

 同じことを表現するのにも、ついネガティブな言葉が先に出てしまうのを一呼吸おいて、ポジティブな表現を探す。そうすれば、人生が変わる。

 まず対人関係。「趣味が悪いな」と思っても、「自分の世界を持っている」。「愛想が悪い」と思っても、「こびを売らない」。「浅はかだ」と思っても、「行動力がある」などと言い換えてみる。決してお世辞や嘘ではなく、円滑な人間関係を築く言い換えなのである。

 次に会社編。「古臭い戦略」をぐっとこらえて、「伝統ある、そして成熟した大人の戦略」。「頑迷な手法」を「意志が固く、自分独自の考えを持っている手法」と言い換えてみる。「なにかと苦情や文句を言ってくる顧客」に対して、「論客、議論家の客」。「あきらめが悪い」パートナーに対して、「失敗してもくじけない、粘り強い」パートナーと言い換えてみる。

 そして、最後の国家編。何かと暗い表現でマスコミに取り上げられる国家であるが、例えば、「巨額の財政赤字、税金のたれ流し」を「民間分野への公的資金の大量注入」とでも言い換えられる。「危機的な出生率の低下、若い世代の非婚化」を「若年層の生産性の向上、婚姻探索機会の拡大」とでもいうものか。

 さて、ついネガティブな言葉が先に出てしまうという人が、言葉の言い方を変えるだけで、自分や、相手に対しても幸福感が増という話であるが、実はその逆も考えなければならない。

 長く権力の座についていると、誰しもその周辺にゴマすり人間が増えてくる。そうなるとむしろポジティブな言葉しか、耳に入ってこなくなる。今の日本のいたるところに見られる現象である。そういった場合には、むしろ逆にポジティブをネガティブに言い換える頭を持つ必要がある。

 「頑固で、年寄りじみていて、悪趣味、一貫性がない」。周りの人が、追従やこびに満ちたお世辞ばかりを言わなくなれば、この逆辞書は有効である。

                   ◇

【プロフィル】増山壽一

 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。旭川大学客員教授。京都先端科学大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。前環境省特別参与。著書「AI(愛)ある自頭を持つ!」(産経新聞出版)。57歳。

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