NTTは12日、令和2年の春季労使交渉で、正社員の月給を平均で2千円引き上げることで労使が妥結したと発表した。前年と同水準となる。賃上げ率は0・47%で、一時金などを加えた年収ベースで3%程度だった。非正規社員については、定年後の再雇用社員の月給を前年と同額の平均1350円引き上げると回答した。
NTT労働組合は正社員の月例賃金の2%改善、非正規社員には年収で2%程度の改善を要求していた。労組側は「春闘相場全体が冷え込んでいる中で、前年と同水準を確保したのはそれなりに評価できる」とした。
一方、60歳以上の再雇用の従業員に300万円以上の年収を保証するよう求めていたが、会社側は回答を見送り、今後労使で中期的に議論を進める方針となった。
会社側は非正規社員のうち再雇用社員には一律で回答したが、その他の非正規社員の処遇はグループの判断に委ねた。NTTドコモでは、雇用契約更新時に給与水準を月額500円増額することにした。
新型コロナウイルスの感染拡大について、労使とも「今回の交渉に影響はなかった」としたが、今後は「影響が出てくる危惧はある」(NTT労組)との見方を示した。
NTTではドコモの携帯電話料金の値下げなどが響き、令和2年3月期の収益は減益の見通しだが、会社側は「賃金改善で社員のモチベーションやチャレンジ意欲の向上を促したい」とした。