話題・その他

東電HDベア見送り 春闘、人手不足の外食・流通は改善

 令和2年の春闘は12日、電力や通信などの各企業が回答日を迎えた。新型コロナウイルスの感染拡大や事業環境の悪化を背景に、東京電力ホールディングス(HD)や中部電力などがベースアップ(ベア)を見送ったほか、NTTも前年並みにとどまった。一方、人手不足が深刻化する流通や外食は非正規社員を中心に2%を超える賃上げとなるなど明暗が分かれた。

 「法人向け需要の減少などが見込まれ、賃上げが難しかった」。中部電の担当者は声を落とす。組合は3千円のベアを要求したが3年ぶりに見送られ、年間賞与(ボーナス)も新型コロナによる業績不安を背景に、前年比で4千円減となった。東電HDは年俸制で年収水準を据え置き、関西電力も2年ぶりにベアを見送った。

 通信ではNTTが正社員の月給を平均2千円引き上げると発表した。前年と同水準で一時金などを加えた年収ベースで3%程度。非正規社員については、定年後の再雇用社員の月給を前年と同額の平均1350円引き上げると回答したが、その他の非正規社員の処遇はグループ判断に委ねた。NTTドコモでは契約更新時に給与水準を月額500円増額するとした。

 KDDIは正社員の大半を占める総合職の月例賃金の改善を原則見送り、地域限定の総合職や地域職に対しては、若干(数値は非開示)の改定を行うとした。契約社員の賃金改善も見送った。労組側は正社員、契約社員とも平均6800円の改善を要求したが、「大変厳しい結果となった」(KDDI労組)。

 一方、流通や外食などの労働組合が加盟するUAゼンセンは12日の会見で、加盟労組の正社員の賃上げ幅が平均7298円と2・49%となったほか、パートタイマーの平均は正社員を超える3・29%になったと発表した。松浦昭彦会長は「外食などは新型コロナで客数が減っている一方、その前に人手不足があり、人材を確保しないといけない」と他業種との違いを強調した。11日に公表したゼンショーHDはベア3千円を含む9300円(2・85%)の賃上げだった。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus