2020年に入り、にわかにブームの兆しが見える「おかゆ」。これまでは風邪や胃腸の調子が優れないときに家庭で食べるイメージが強かったが、ここ数年の健康志向、アジアングルメ人気の高まりから注目が集まっている。
台湾や香港では朝食として親しまれている。数種類の薬味をトッピングして食べるのが主流だ。オーソドックスな食べ方に加え、最近勢いを増しているのがさまざまな具材を取り入れてアレンジした「進化系おかゆ」。トマトやチーズ、ホウレンソウなどこれまでにない具材を取り入れ調理することで、彩りが豊かになり、十分な味わいも楽しめ、満腹感も得られる。ぐるなびの調査によると、「おかゆ」をキーワードに検索した件数は昨年12月時点で3年前に比べ4.5倍に増加。台湾や香港料理店の従来メニューのみならず、専門店も続々とオープンしていることが要因となっている。
全国に10店舗を展開する「おかゆと麺のお店 粥餐庁(かゆさんちん)」は、ブームに先行し01年に1号店を開店。沸騰したスープに生米を入れて炊き込む中華がゆをベースに、常時7種類のアレンジ商品を提供している。1番人気の「蒸し鶏とみょうがのおかゆ梅味仕立て」(780円)を筆頭に、赤色が鮮やかな「海老とチーズのトマトのおかゆ」(780円)など多様な食材とおかゆの組み合わせを満喫することができる。2カ月ごとに期間限定メニューも設定し、3月からは新緑を感じさせる春らしい色合いの「踊る花かつおのほうれん草かゆ」(800円)が登場した。
家庭では手軽に作るおかゆだが、専門店では手間暇をかけて調理されている。同店では干し貝柱やコンブ、系列の中華料理店で作られているチキンスープにショウガを加え、白米とビタミンB1や食物繊維豊富な玄米を2:1の割合でブレンドし1時間以上かけて炊き込んでいる。定番商品は全て300キロカロリー以下に抑えられており、低カロリーも人気の要因となっている。
同店を展開するグリーンハウスフーズ広報担当の杉山典幸さんは「開店当初は、食事メニューとして楽しめる中華がゆが少しずつ認知され始めていた頃。現在は本場の味を知った上で来店される方や、ランチやディナータイム問わず、時間帯に捉われずおかゆを楽しんでいる人が多い。10~50代の幅広い世代が来店される」と客層の変化について分析する。近年のブームについては「ようやく流行が来てくれたという実感。多様化するニーズに応えられるよう、かゆブームの先駆者として、マーケットをリードしていきたい」と語った。
ほっと一息つける味わいと栄養価の高さから「滋味深い」と称されるおかゆの魅力。ぜひ、お気に入りの一杯を見つけてほしい。
■ぐるなび
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