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京大、代謝物の発症抑制を確認 糖尿病に腸内細菌が好影響

 腸内細菌が代謝でつくる物質に糖尿病を予防したり症状を抑えたりする働きがあることを、京都大の松田文彦教授(ゲノム医学)らの国際チームがラットを使った実験で明らかにした。

 血糖値を下げるインスリンを投与する治療法はあるが、今回特定した4-クレゾールという物質は、インスリンを分泌する膵臓のベータ細胞を増やし、脂肪は減らすなど、多面的に体内環境を整えていた。チームは「新たな予防や治療の道が開ける」とみている。

 チームは、質量分析という手法を応用し、血液中の物質を網羅的に調べる方法を開発。主に生活習慣が原因で発症する2型糖尿病の患者77人と、患者でない60人の血液を比較すると、糖尿病の人では4-クレゾールが少ないことが分かった。

 さらに、糖尿病のラットに与えるとベータ細胞が刺激され、血糖値を調節する能力が回復した。

 人間が自分でつくることはできず、腸内細菌が食べ物を分解することでできる物質とみられるが、多様な細菌のうちどれがつくるのかは分かっていない。松田教授は「有用な細菌や食品を特定すれば、発症を防ぐことができるかもしれない」と話した。

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