リニア中央新幹線工事による環境影響対策を議論する国の有識者会議の枠組みをめぐって、国土交通省の江口秀二技術審議官と静岡県の難波喬司副知事が27日、県庁で面談した。江口審議官は、国が提案した委員候補者のうち県が中立性を問題視した1人を委員から外すことを受け入れたうえで、初会合を4月中旬をめどに開催するよう要望した。難波副知事は委員の除外は了承し、初会合の日程は持ち帰って検討するとした。
国の有識者会議の人選については、県側が候補者の1人がリニア工事を受注した企業の社外監査役を務めていることなどから、中立性や公正性を問題視。県は今月末まで独自に委員候補者を公募しており、公式ホームページに募集要項を掲載している。
江口審議官は、県が問題視する候補の中立公平性に問題はないとの認識を示しながらも「大井川流域市町の懸念が払拭できないのであれば、委員ではなく別の立場で関与してもらうことも検討する」と回答し、県側に歩み寄った。一方で、県が進めている委員の公募には「なぜ必要なのかさらに説明を求める。最終的には私たち(国が)が決めること」と改めて不快感を示した。
江口氏は初会合の日程を4月中旬と設定したことに「きちんと目標を定めなければと提案した」と説明した。一方の難波副知事は「非常に微妙な時期を提案された。4月上旬であれば明らかにこちらの公募を無視することなので受け入れられないし、4月下旬であれば県の公募を待つということになる」との認識を示した。そのうえで「(県の公募を)無視するわけでも尊重するわけでもないということなので、こちらで考える」と引き取った。
4月中旬に有識者会議が開かれる場合には、新型コロナウイルスの感染防止対策として、テレビ会議なども検討するという。