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オンライン診療、利用急増 新型コロナ対応で規制緩和

 新型コロナウイルスへの感染を避けようと、スマートフォンなどを使って離れた場所から診察するオンライン診療の利用者が急増している。高齢化による需要増を背景に、近年は遠隔診療を支えるシステム事業に大手企業が相次ぎ参入。厚生労働省は今回の感染対応のため特例で実施規制を緩和した。先行企業は一層の普及を目指す。

 「かかりつけの患者で新たにオンライン診療を希望する人が増えた」。東京都豊島区のJR山手線大塚駅前にある「山下診療所大塚」の山下巌院長(55)は話す。

 これまで約10人だった遠隔診療の利用者は、2月後半から増えて約30人に。通院や待合室での混雑を避けるためという。山下氏は「不要な感染リスクを回避しつつ、通院コストを下げて生活習慣病などの治療を続けられる」と利点を強調する。

 オンライン診療は従来、離島や僻地(へきち)に限って認められていたが、その後は範囲が広がり、2018年度から診察の対価となる正式な診療報酬が設けられた。糖尿病や高血圧症といった生活習慣病のほか、難病などを対象としている。

 こうした疾患がある高齢者の増加を見据え、事業として取り組む企業も目立つ。ケーブルテレビ大手のジュピターテレコム(JCOM)は昨年9月から、東京都や福岡市などで、テレビ画面をリモコンで操作して受けられるオンライン診療の実証実験を行った。トヨタ自動車とソフトバンクによる出資会社「モネ・テクノロジーズ」は昨年12月、テレビ電話を搭載し遠隔診療できる「移動診療車」の実験を、長野県伊那市で始めた。

 JCOMの実験で、今年1月に慢性疾患の診察を受けた千葉県柏市の男性(78)は、便利さを実感したという。都内のかかりつけ医療機関へ行くには電車やバスを乗り継いで片道約50分。「直接行くより楽だった。感染が広がる中、不特定多数の人と接触する不安もない」と語る。

 厚労省は2月以降、感染防止に向けオンライン診療のルールを弾力化。本来必要な、事前の診療計画がなくても実施できるとした。また今後の特例措置として、感染が広がった場合に重症者が優先的に入院できるよう、軽症か無症状で自宅療養する新型コロナウイルス陽性患者にも遠隔診療が可能とした。

 オンライン診療のアプリを手がける企業「MICIN(マイシン)」によると、直近1カ月は、同社と新規契約した医療機関数とオンライン診療の実施回数が、いずれも通常時の2~3倍に伸びた。担当者は「実施できる医療機関数はまだまだ少ない。希望者が受けられるよう普及を後押ししたい」と話した。

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