国内自動車各社の2月の中国生産が前年同月比で9割近く減少し、新型コロナウイルス感染拡大による事業への打撃が顕著になった。欧米などでの都市封鎖で世界的に新車需要が失速する中、生産体制の見直しを含めた対応が急務だ。部品供給の確保も課題となる。
「自動車の生産、販売面に大きな影響が及んでいる。急激な人やモノの動きの停滞は経済に大きな影響を与え始めた」。日本自動車工業会の豊田章男会長は19日の定例記者会見で、終息の兆しが見えない新型コロナ流行への危機感を示した。
3月に入って、国内各社は相次ぎ世界各地で工場を停止し、生産停滞の深刻度は増している。混乱が長期化する可能性もあり、工場閉鎖などさらに踏み込んだ対応を迫られる局面も出かねない。
海外依存を深めてきたサプライチェーン(供給網)の新たな問題も露呈した。日産自動車は中国からの部品が滞り、2月には早くも国内工場の一時停止に追い込まれた。スズキはインドやフィリピンからの部品途絶が響き、国内の全工場を4月1日から3日間停止すると決めた。
国内市場で大きな成長が見込めない中、部品供給体制をどう再構築するかも重い経営課題となりそうだ。