専欄

中国・全人代開催時期は変更すべきか

 中国では新型コロナウイルスの感染が終息に向かう中で、中央指導部やメディアからは「中国はいまや、コロナ撲滅の最大の貢献国だ」などと、撲滅の成果を強調する言い方が目立っている。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 これに対して、武漢出身の女流作家、方方さんがブログで毎日発信し続けた「方方日記」では、当初の対策が後手に回ったなど、多くの反省点があるにもかかわらず、責任を追及しなければ、亡くなった数千人の方々に申し訳が立たないのではないかと訴えている。

 反省点の一つとして「方方日記」が取り上げているのが、両会(全国人民代表大会と人民政治協商会議)の開催時期についてである。毎年、冬から春にかけては、感染症が大流行する時期である。前回のSARS(重症急性呼吸器症候群)もそうだったし、今回も同じである。そんな時期に両会をなぜ開くのか、感染症の少ない季節に変更できないものだろうかという提案である。

 方方さんは、友人の医者との対話を交えながら、両会開催前後の時期に、政府の各部門がどのような状態になるかを厳しく指摘している。

 会議が順調に開けるように、メディアがマイナスの情報を報道することは許されない。また幹部はみな会議に参加しているので、誰もほとんど仕事に手が付かない。

 こうした中で、省市レベルの両会開催期間中に、当局が感染者数の発表を停止させるという事態が発生した。これは偶然でも故意でもなく、従来の習慣とも言える行動である。この習慣は過去数年という短い期間ではなく、もっと長い年月を掛けて形成されてきた。地元幹部も記者も中央指導部も、加えて一般大衆もそれに慣れっこになっていたという。ところがコロナウイルスには遠慮がなかった。

 最後に「方方日記」は、両会が開催時期を変更できないならばこの悪しき慣習を改めねばならず、慣習を改められないならば開催時期をもっと温和な気候の時期に変更するしかないと結論付けている。

 中国の新聞、テレビなどの既存メディアからは、なかなか現地の詳細な状況が伝わってこない。それを埋めているのが、ブログなどの新しい媒体である。「方方日記」は60回で終了となったが、結局、中央指導部は排除できなかった。排除すれば、より多くの反発を呼び起こしかねなかったからだろう。

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