関西電力は30日、金品受領問題の再発防止に向けた業務改善計画を経済産業省に提出した。金品を受け取った役員ら82人の処分も発表、既に発表した岩根茂樹前社長らを含め処分対象者は計93人となった。元副社長豊松秀己氏の税負担への補填(ほてん)額は120万円だったとし、取締役の法的責任を調べる調査委員会の新設も発表した。
東レ出身で前経団連会長の榊原定征氏を会長に充てる人事も発表した。6月の株主総会を経て就任する。
業務改善計画では会社の統治形態を社外取締役の権限が強い「指名委員会等設置会社」に移行すると明記。法令順守の徹底へコンプライアンス委員会の設置を盛り込んだ。原子力事業本部に法令順守を監視する役職を新設。専門性の低い工事の発注権限は原発部門から調達部門に移管する。調達を事後的に審査する委員会も設ける。
30日に記者会見した森本孝社長は「信頼回復へのスタート地点に立った。全く新しい関電を創生する」と述べた。
処分は金品を受領した75人に加え、不十分と批判された社内調査や工事発注に関わった役員、常任監査役らが対象。新設の調査委員会名は「取締役責任調査委員会」。取締役が善管注意義務違反などで関電に損害賠償責任を負うかどうかを今後2カ月程度で判断する。弁護士4人で構成する。
豊松氏は金品受領後に金沢国税局から指摘を受け、個人所得として修正申告した税負担の補填を受けた。関電は東日本大震災後の経営不振でカットした役員18人の報酬の補填約2億6000万円とともに返還を要求。返還されない場合は八木誠前会長と森詳介前相談役、岩根氏に負担を求める。