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過剰在庫、再販でロス防げ 土産用菓子や給食用食品

 新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛やイベント中止などの影響で、土産物の菓子や給食で提供されるはずだった食品の過剰在庫が発生し、製造業者が頭を抱えている。本来は食べられるはずのものが廃棄される食品ロスを防ぐため、売れ残った商品を仕入れてインターネットを通じて再販するなど企業や国が対策に乗り出した。

 2018年から食品ロスの削減に取り組んでいる大阪市のベンチャー企業ビューティフルスマイルに1月下旬、中国からの訪日客が減った土産物店から商品を引き取ってもらえないかとの相談があった。

 その後も、百貨店の客足が鈍っている影響で売れ残ったバレンタインデーやホワイトデー向けのチョコレートや菓子を引き取ってもらえないかなどの問い合わせが絶えず、1日で1000箱以上の菓子がオフィスに運び込まれることもあった。

 買い取った商品は自社の通販サイトを通じて定価の3割引きから半額程度で販売している。文美月代表(49)は「作り手の人たちは、せっかく作った商品が売れ残ることに胸を痛めている。食べることで支援してほしい」と話した。

 大阪市浪速区の通天閣では3月、賞味期限が近い商品を買い取って販売する半額セールが始まった。公式ツイッターに「SOS」とセールを告知する内容を書き込むと、大きな反響があった。ツイッターを見て訪れた大阪市の40代主婦は「在庫の削減に少しでも貢献したい」と大阪土産のバウムクーヘンを手にしていた。

 各地の物産展が中止となりチーズや牛乳、プリンなどの売れ残りが大量に出た北海道。札幌商工会議所は3月、在庫を抱えた事業者が商品の購入を呼び掛ける掲示板「緊急在庫処分SOS!」をインターネット上に開設した。掲載費は無料で、売買の方法は購入希望者と事業者が直接やりとりして決める。これまでに180社以上の情報が掲載された。

 国も対策に動いている。農林水産省は学校が一斉休校となり、給食で提供される予定だった食品を抱えた事業者の情報を集め、生活に困った人や子ども食堂などに食品を無償提供する団体「フードバンク」に伝えている。

 寄付を希望する事業者の食品の輸送費は農水省が補助する。担当者は「食品ロスの削減にもつながるよう、国としてもしっかりと支援していきたい」と説明した。

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