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訪日客激減で相次ぐホテル休業、航空会社は大幅減収 スカイマーク上場申請取り下げ

 新型コロナウイルス感染拡大を受けた3月の訪日客数の過去最大となる落ち込みは航空や観光業界はもちろん、百貨店など国内消費の現場も窮地に追い込んでいる。羽田や成田など空港施設の一時閉鎖が相次ぐ中、15日にはスカイマークが上場申請の取り下げを発表。東京や大阪では高級ホテルも休業に追い込まれ、百貨店の免税売上高も激減している。各業界はV字回復に期待をかけるが、新型コロナの収束が見通せない中で暗中模索の状態だ。

 「感染拡大を防ぐのが第一だが、宿泊客が集まらず、営業を続けても赤字が増えるだけ」。臨時休業に踏み切った関西のあるホテル業界関係者はこう漏らす。関西ではユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市此花区)公認の全8ホテルや鉄道系ホテルチェーンの施設なども次々と臨時休業している。

 こうした動きは東京都内の外資系ホテルも同様だ。ザ・リッツ・カールトン東京やマンダリンオリエンタル東京、ザ・ペニンシュラ東京といった訪日客の利用が多い外資系高級ホテルは、訪日客の激減や併設するレストランなど飲食店への営業自粛要請を受けて相次ぎ休業を決めた。

 百貨店業界への影響も甚大だ。大手百貨店の3月の訪日外国人客による免税売上高は大丸松坂屋百貨店で前年同月比97%減となるなど各社とも大幅縮小。政府の緊急事態宣言後は一部店舗の臨時休業も決めている。

 国際線が稼ぎ頭の航空業界へのダメージも大きい。国際航空運送協会(IATA)は14日、2020年の世界の航空会社の収入が前年比55%減となり、3140億ドル(約33兆6000億円)の減収になるとの見通しを発表した。

 国内の航空業界でも2兆円の減収が見込まれ、スカイマークは15日、東京証券取引所への上場申請を取り下げることを決定。日本航空も傘下の格安航空会社(LCC)の5月の初就航を延期するなど航空各社の経営は混乱が続く。訪日客激減の影響が波及する業界は今後も広がるとみられ、各社は事業計画見直しを迫られそうだ。(大坪玲央、岡田美月、田村慶子)

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