金融

証券業界が個人に積み立て継続促す 長期メリット訴え不安緩和

 新型コロナウイルスの感染拡大で株価が低迷する中、証券業界が個人投資家向けに投資の継続を呼び掛けている。10~20年単位の長期にわたる「積み立て投資」を念頭に、運用悪化への過度な懸念を和らげる狙いがある。ただ株価の復調が遅れれば保有資産の元本割れ状態が長引くなどし、見極めは難しそうだ。

 2018年1月に始まった少額投資非課税制度(NISA)の長期積立枠「つみたてNISA」は、対象の投資信託から得られる分配金や売却益の非課税期間が20年間と長いのが特徴だ。株価水準にかかわらず一定額を買い続け、安定的な資産形成につなげる仕組みにしている。

 日本証券業協会の鈴木茂晴会長は今年3月の記者会見で、つみたてNISAに関し「こういった状況でも積み立てていけば、(株価回復後に)高い運用成果を示すと思う」との見方を示した。

 コンピューターによる全自動の資産運用支援を手掛けるウェルスナビ(東京)は、世界の上場投資信託(ETF)への積み立てを扱う。08年のリーマン・ショックによる暴落前後でも、積み立てを続けていれば利益が膨らんだと試算。今回、顧客には「一時的な相場の動きにとらわれず、じっくりと資産を持ち続けること」を勧めている。

 楽天証券では20~30代を中心に新規口座の開設数が急増。広報担当者は「株安を好機とみて、資産形成目的で積み立て投資を始める若年層も多い」と指摘する。

 ウェルスナビのサービスを利用する東京都の会社員、桜井涼さん(27)は「新型コロナの先行きに不安は感じるが、老後も見据え淡々と積み立てを続けたい」と話した。

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