リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く

ツムラ 日漢協会長にも尽力 中国と良好関係維持(2-2)

 「一無・二少・三多」 1週間単位で実践

 --社長就任以来、心がけていることは

 「ツムラの創業商品で発売から127年の婦人薬『中将湯』ゆかりの中将姫が765年に建立した奈良県宇陀市の日張山青蓮寺に、中将姫回忌法要と当社創業記念日である4月に毎年訪れている。観光客も来ないようなものすごい山奥にあるお寺で、初代と2代の津村重舎の墓もあることから報告に行く。静かなところに身を置いて創業の原点に立ち返るとともに、新事業に乗り出すにあたり当社の理念と照らし合わせてぶれていないかを自問自答する。『自然と健康を科学する』という経営理念と『漢方医学と西洋医学の融合により世界で類のない最高の医療提供に貢献します』という企業使命に基づく経営を標榜(ひょうぼう)してきたからだ」

 --どんなことを問いかけてきたのか

 「第3期中期経営計画で中国事業の基盤構築を掲げたが、『理念に合致しているか』『なぜ中国事業を行うか』を自問し、答えられたので『やる』と決めた。『水を飲むときには井戸を掘った人に感謝せよ』という中国のことわざがある。中国からの生薬供給なくして、これまでの事業は成り立たない。中国に感謝し、中国の人々の健康に貢献することが恩返しになる。当社グループが持つ品質・技術を中国の伝統薬『中薬』の製造に生かし、2027年には海外売上高を全体の50%以上に高めたい」

 --人々の健康に貢献する企業のトップとして健康を保つ上で注意していることは

 「あるドクターに教えられたことを実践するよう努めている。それは『一無・二少・三多』である。一無とは「たばこはなし(吸わない)とすべし」で当社は就業時間中を禁煙にしている。二少とは『食事は腹八分目、お酒は適量にすべし』、三多とは『多動・多接・多眠であるべし』。つまり『よく動き(運動し)、多くの人と接して話をする、良質な睡眠を十分とる』ことを心がけるというもの。健康は自分で守り維持するものだと強い意志をもって取り組む必要がある。ただ仕事の都合などで守れないこともあるので、帳尻をあわせるため1週間単位で考えている」

 --スポーツは

 「土・日曜日は運動不足解消に当てている。日曜日の朝8時30分から1時間30分ほど、インドアテニスで汗を流す。万歩計を見ると約1万を歩いた効果がある。知り合いのアスリートの教えを受けながら2週間に一度のペースだが体幹トレーニングにも2時間ほど励んでいる。運動をすると人間本来の機能が覚醒する。免疫力も向上する。運動は会社時代に習慣化するのが大事で、退職後も続けられる。退職後に時間ができてからやるといっても無理。早くから体を動かすことが肝心だ」

 日漢協会長にも尽力 中国と良好関係維持

 --日本漢方生薬製剤協会(日漢協)は、漢方薬の有効性・安全性・品質にかかわるエビデンスの集積、原料生薬の安定確保、製品の安定供給などの課題解決に取り組んでいる。会長として注力していることは

 「生薬の安定確保には、生薬の約8割を頼る主要調達先の中国との良好な関係の維持が欠かせない。私たちは中国の業界団体とも15年にわたって交流を深め、情報交換を定期的に行っている。その上で国内栽培の拡大や産地の複線化を推進する必要がある」

 「国内栽培に関しては種苗の確保、栽培技術者・指導者の育成、加工調製施設の設置、生産の効率化や継続性など多くの課題を解決し、現状の約3倍の生産を目指す。ただ生薬の中には芍薬(シャクヤク)や人参(ニンジン)など収穫までの栽培期間が複数年かかるものもある。その間は生産者に収入がない。この課題について農林水産省、厚生労働省と連携して取り組みを進めている。今後も業界一丸となって生薬から最終製品までの品質管理と安定供給に取り組み、国民医療に貢献していく」

 --2020年度には薬価改定が控えている

 「医療用漢方製剤(エキス製剤)は1987年以降、新たな品目が薬価基準に収載されていない。また生薬の高騰などにより企業の経済的負担は増しており、採算性が悪化。製造・販売企業、品目数とも年々減少し、安定供給が危惧されている。国民の便益を重視し、薬価が下がらない基礎的医薬品に、煎じて服用する刻み生薬だけでなく、エキス製剤である漢方製剤も対象にすべきであるというのが私たちの主張だ」

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