遊技産業の視点 Weekly View

緊急事態宣言下で「休業への踏み絵」

 7都府県に緊急事態宣言が出て東京都がすぐに幅広い範囲の業種に休業要請をするという事態を誰もが予想していた。少なくとも都内のぱちんこ店は特措法の「罰則はない」状況に照らして自店を休業するか否か最終判断をするつもりだった。しかし、直後に東京都と政府が休業要請の範囲をめぐって妙なゴタゴタをしたため、東京都の休業要請が遅れ6府県の宣言地域のぱちんこ店もかなりの割合が休業に突入するという状況になる。

 そもそも3月25日の小池都知事の会見後のはじめての土日、まさに終日外出自粛のはじめてのタイミングで、キー局の番組でぱちんこ店の開店前にたくさん人が並んでいる映像が流れてしまう。このため宣言よりも前からぱちんこ店の休業への踏み絵は始まっていた。4月4日、5日は都内の200店舗以上の店が実際に休業している。

 このあとは県ごとに独自の宣言を出すところが増えており、休業要請のないところでも営業時間短縮要請などは出ている。これを受け、休業したり時短営業に切り替えたりするぱちんこ店が全国的に増えつつある。

 一方、休業要請の出ていない首都圏の隣県にぱちんこ客が押し寄せるということも報じられており、状況は各宣言地域(および、それに準ずる地域)の周辺にこれまた妙な影響を与えている。宣言後は、さまざまな業種に対する休業要請に補償をセットすべきだ、という声が増えた。政府は出さない方針。東京都は独自に少々の手当てを発表した。6府県その他は独自の財源がなく政府に補償を求めるように全国知事会も含めて要請しているような現状だ。

 安倍首相は夜の繁華街の接待を伴う店へ行かないよう要請したが、これは全国全て、である。今のところぱちんこ営業は一部地域での休業や時短営業要請に留まっているが、これが広がっていく懸念もある。新型コロナウイルスの感染拡大が終息するまでは、おそらく日本中でこのようなゴタゴタが続いていく。ぱちんこ業界もその例に漏れず、だ。(ぱちんこジャーナリスト LOGOSインテリジェンスパートナー・POKKA吉田)

【プロフィル】POKKA吉田

 ぽっか・よしだ 本名・岡崎徹。1971年生まれ。神戸大学経済学部中退。著書に『パチンコが本当になくなる日』(扶桑社新書)など。2016年2月より本名の岡崎徹としてぱちんこ業界紙「シークエンス」発行人編集長。

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