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積水ハウス、株主提案否決 総会、会社側の取締役案を承認

 積水ハウスは23日、大阪市で定時株主総会を開き、会社側が提案した会長を含む取締役選任案が可決された。「地面師」による詐欺被害の責任問題で経営陣一新を求めた前会長らの株主提案は否決され、現経営陣の勝利に終わった。

 経営混乱はひとまず回避された格好となったが、新旧首脳の対立が鮮明になるなど、ガバナンス(企業統治)のもろさも浮き彫りとなった。詐欺被害で傷ついた信頼をいかに回復するかが経営陣にとって急務となる。

 総会では会社側が阿部俊則会長ら12人の取締役選任を求めた一方、前会長の和田勇氏らは自身を含む11人の取締役選任を提案した。和田氏の動きとは別に、海外投資家に影響力のある米国の議決権行使助言会社はガバナンスに懸念があるなどとして会長らの再任反対を推奨し、結果次第では取締役に両陣営が混在する事態も予想されたが、業績が好調なことも追い風となり会社側の提案が全面的に支持された。

 和田氏は東京都品川区の土地取引で約55億円をだまし取られた責任をめぐり、当時社長だった阿部氏と対立。2018年に会長を退いた。

 総会には約160人が出席し、詐欺被害への質問が相次いだ。終了後、兵庫県伊丹市の70代男性は「積水ハウスを応援し続けたいが、事件の説明責任が果たされていない」と語った。

 積水ハウスは代表取締役の定年制導入などのガバナンス改革をアピールするが、詐欺被害の調査報告書の全文公開は「模倣犯を生じさせかねない」として応じていない。

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【用語解説】積水ハウスの地面師被害

 積水ハウスは2017年、東京都品川区の廃業した旅館の敷地の取引に絡み、所有者に成り済ました「地面師」グループに土地購入代金約55億円をだまし取られた。業界大手の上場企業が高額被害に遭った珍しいケースとして知られる。責任の所在をめぐって当時社長だった阿部俊則会長と会長だった和田勇氏とで意見が対立。和田氏は18年に会長を退いた。

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