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アビガン増産、オールジャパンで シミックHDなどが製造支援

 新型コロナウイルスへの治療効果が期待されている抗インフルエンザ薬「アビガン」の増産を支援する動きが国内で広がっている。医薬品の開発支援などを手掛けるシミックホールディングス(HD)が製造を受託するほか、宇部興産は主要な成分の一つである中間体の生産に乗り出す。アビガンを開発した富士フイルムホールディングス傘下の富士フイルム富山化学は、外部との積極連携でオールジャパン体制を構築し、早期に生産規模を拡大したい考えだ。(井田通人)

 シミックHDは、傘下のシミックCMOが運営する静岡工場(静岡県島田市)でアビガンを生産。別の子会社では臨床試験の一部を代行し、治験が適正に実施されていることを保証する業務を受託した。

 宇部興産は、宇部ケミカル工場(山口県宇部市)で7月から中間体を生産。同社は平成21年まで中間体を生産した実績があり、富士フイルム富山化学からの要請で生産再開を決めた。

 アビガンをめぐっては、ほかにもデンカが新潟県にある休止中の工場設備を活用し、29年に停止した原料「マロン酸ジエチル」の生産を5月から再開。カネカも、7月に国内工場で薬の一つ手前の原薬生産を始める計画だ。

 アビガンはウイルスが体内で増殖するのを防ぐ仕組みで、政府は200万人分の備蓄を決定。富士フイルム富山化学では、3月上旬時点で月4万人分強だった生産量を、9月に約30万人分まで増やす計画だが、一方で原料や生産能力の確保が課題となっている。

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