日本百貨店協会が24日発表した3月の全国百貨店売上高は、既存店ベースで前年同月比33・4%減と過去最大の落ち込みとなった。消費税増税の影響もありマイナスは6カ月連続だが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の影響が加わり、下落幅が急激に拡大した。一方、生活必需品と位置付けられる食料品を中心に扱うスーパーは売り上げを伸ばしており、業態の違いによる明暗がくっきりと表れた。
下げ幅の33・4%は、その前年に消費税率引き上げに伴う駆け込み需要があった平成10年3月(20・8%減)を超えて過去最大となった。中国人ら訪日外国人の免税売上高も85・7%減と急落した。
高額品を含む「不要不急」の商品も多い百貨店の足元の売り上げは、さらに落ち込んでいる。4月16日時点での全国百貨店売上高は65%減だった。地域別では、大都市圏で70%減、地方都市圏で約40%減と開きが出た。
16日には全都道府県に緊急事態宣言が拡大したことで、臨時休業や売り場を限定した営業が全国に拡大した。大型連休に向け地方都市圏の営業自粛が拡大すれば、さらなる落ち込みも見込まれる。
同協会の山崎茂樹専務理事は「インバウンド消費は訪日客の激減で早期回復が期待できなくなっている。非常事態宣言の区切りとなる連休明けからを注視したい」とコメントした。
百貨店が苦戦する一方、外出自粛に伴い自宅で過ごすための日用品や食料品を主に扱うスーパーの売上高は伸長している。日本チェーンストア協会によると、3月の全国スーパー売上高は食料品などの買いだめ需要も取り込み、0・8%増と2カ月連続で前年実績を上回った。担当者は「家庭で料理する機会が増え、特に生鮮食品の需要が高まった」と分析する。
また、日本フランチャイズチェーン協会が発表した主要コンビニエンスストア7社の3月売上高は5・8%減。冷凍食品などの買いだめ需要で平均客単価は上昇したが、来店頻度の減少や、入居する施設の閉鎖などに伴う休業店舗数の増加が響いた。