金融

生保マネー、運用に厳しさ 原油急落でさらなる波乱も

 大手生命保険の令和2年度の資産運用計画が24日、出そろった。新型コロナウイルスの感染拡大で、運用環境は一段と厳しさを増す。超低金利環境が常態化する中、プラスの利回りを求めて各社が進出した米国社債市場をコロナショックが急襲。原油価格急落に見舞われたエネルギー関連企業を中心に信用力の低下は避けられず、金融市場の波乱も予想される。

 日本生命保険は今年度の実質国内総生産(GDP)成長率について、日本はマイナス4・1%、欧米はマイナス4・6%と予測。岡本慎一執行役員財務企画部長は「4~6月期はリーマン・ショック以上のマイナス成長になる」と予想する。

 不安定な金融市場に波乱を起こす要因となり得るのが原油だ。米国産標準油種(WTI)の先物価格は20日に初めてマイナス圏に沈み、その後も歴史的な安値が続く。

 第一生命保険の甲斐章文運用企画部長は「エネルギー関連企業の連鎖的なデフォルト(債務不履行)をきっかけに信用市場の収縮が起こることで、企業活動に甚大な影響が生じ、より深い景気後退となる」と警戒する。

 三井住友DSアセットマネジメントによると、米国の低格付け社債市場では3月2日~4月22日に1259社が格下げとなった。203社はエネルギー関連だ。

 生保にとって米社債市場はプラスの利回りを狙える数少ない投資先だ。各社とも海外社債への投資を強化する方針に変わりないが、今後はより慎重にリスク分散を進める戦略だ。

 明治安田生命保険は人工知能(AI)などを活用し、金利や為替、株価の将来予測モデルの開発に取り組む。住友生命保険は今年度からの3カ年で環境や社会課題解決につながる債券などに累計3千億円を投資する。

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