金融

脆弱ドイツ銀への不安再燃 新型コロナで顧客動揺、与信枠取り崩しに動く

 ドイツ銀行のフランクフルト本店のムードは緊張していた。3月後半に顧客が非常に速いペースで与信枠の取り崩しに動き、財務部門が警戒モードとなった。事情に詳しい関係者1人によれば、流動性は決して問題でなかった。クリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)が徹底した再編計画に着手してから1年たたないが、欧州中央銀行(ECB)の注意も引き付けたそのエピソードは、ドイツ銀の脆弱(ぜいじゃく)さをうかがわせる。

 新型コロナウイルス感染拡大で動揺する企業に数兆ドルの資金を回す役割を各国政府は銀行に期待しているが、それでもドイツ銀は詳細なチェックの対象だ。今度の歴史的な不況は、5年連続で赤字を計上したドイツ銀への打撃、政府保証でどの程度貸し付けを継続できるかをめぐり疑念を生じさせる。

 バーデン・ビュルテンベルク州立銀行のアナリスト、インゴ・フロメン氏(シュツットガルト在勤)は「ドイツ銀にとって今回の危機は実に嫌なタイミングで起きた。ゼービング氏は投資家の信用を取り戻しつつあったが、ドイツ銀の信頼性をめぐる不安が再燃している」と指摘した。

 JPモルガン・チェースのアナリストらによれば、与信・流動性ファシリティーの未利用額はドイツ銀が最も多いわけではない。しかし、全体に占める割合は40%と英銀バークレイズ、ナティクシスを除く欧州の金融機関で最も高い。

 さらにJPモルガンが基本ケースで想定する程度までそれらの与信枠が利用された場合、ドイツ銀の重要な自己資本比率が最も大きな打撃を受けることになりそうだ。同行の広報担当者は、コメントを拒否した。(ブルームバーグ Steven Arons、Nicholas Comfort)

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